インボイス導入後の免税事業者の消費税表示についての再考察 #241

税金や会計のヒント

免税事業者による消費税表示の適否

インボイス導入後、免税事業者が消費税を表示して請求することの適否については、1年と少し前にブログに書いたところです。

興味がある方が多く、レビュー数が伸びていました。よかったら、ご覧ください。

インボイス導入が3か月後に迫る今、インボイス番号を登録しないことを選択した免税事業者現実的な問題を考えてみました。

貰ったレシート

いろいろな事業者からいただいたレシートや領収書には、消費税の表示があるのがほとんどです。

最近は、「(インボイス登録番号が書かれているかなぁ。)」とチェックすることが多くなりました。既に記載されているところもありますが、まだ少数派のようです。

(注)番号の記載は、10月1日を待たなくてもOKです。番号を記載できる機能があれば、早めに載せておきましょう(インボイス登録がある方が取引していただける可能性が少し高くなります。)。

ところで、現在、レシートや領収書に消費税を表示している免税事業者の方で登録番号を取得する予定がない事業者は、取引先と次のようなやりとりがあるかもしれません。

消費税額を表示したままの場合

取引先) インボイス登録番号がないけど?

事業者) 当店は、インボイス登録していません。

取引先) じゃあ、なぜ消費税を請求するの? おかしいと思う。

事業者) …。

価格を「税込(内税)」とした上で消費税額を表示しない場合

取引先) 税込(内税)となっているけど、消費税額が含まれているの? いくら?

事業者) …。

消費税額の表示を止めた場合

取引先) 以前(インボイス導入前)と同じ値段なのはおかしい。少し、まけてよ。

事業者) …。

取引先) 今までは消費税納めていなかったのに、消費税を請求していたの?

事業者) …。

トラブル

これら取引先の発言は正論なので、「(消費税の請求は)法律で禁止されていません。」と言っても納得していただけないかもしれません。また、トラブルになりかねませんし、こちらの評判が下がるリスクがあります。

SNSでの攻撃

前述のような直接的なやりとりとは別に、歪んだ正義感を持った匿名の人たちが、「あの店は、消費税を払っていないのに消費税を請求している。」などと、SNSで魔女狩りをするかもしれません。

レジ

今までのレジは、税別(外税)、税込(内税)の区分は、当然に用意されていたことでしょう。

小規模事業者に人気がある無料のAirレジのサイトのよくあるご質問を確認してみると、次のとおりでした(2023年6月29日現在)。

  • 「適格請求書発行事業者」の登録番号の設定については、制度の施行開始までに対応します。
  • 適用税率ごとの消費税の記載については、すでに対応しています。
  • 電子レシートは、適格簡易請求書の方式に則っています。
  • Airレジでの設定のため、「適格請求書発行事業者」の登録番号が必要になります。
  • 「内税/外税」どちらで利用いただいても問題ありません。
  • 適用税率ごとに会計総額から端数処理を行う、インボイス制度のルールに沿っています。

これらの回答は、課税事業者であることが前提になっています。

そこで、Airレジに質問したところ、「税の表示をしない」区分は無いとの返事でした。

私は、税別(外税)、税込(内税)の区分以外に、インボイス登録をしていない事業者のために「税の表示をしない」という区分を追加する必要がある気がしています。

インボイス番号を登録しない事業者の対応案

消極的な案ですが、次のような対応はいかがでしょうか。

  1. 消費税の表示をしないことができるレジであれば、今から表示を止める。
  2. 消費税の表示をしないことができないレジであれば、税別(外税)から税込(内税)に変更しておく
  3. 消費税の表示をしないことができるレジに代える。

私の心配が杞憂になれば良いのですが…。

【編集後記】

私は副業で卓球センターを経営しています。
4月から6月までの3か月間、週1回(火曜日)、初心者向けの卓球教室を開催したところ、皆さんとても楽しそうに取り組んでいただきました。

そのため、今度は、7月から9月までの3か月間、同じように、日曜日と木曜日に教室を開催しました。

今週がそれぞれ第1回目で、知らない方同士が一緒に汗を流されました。楽しんでいただけると信じて、3か月間頑張ります!

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