日本政策金融公庫が行っている農業経営アドバイザーという資格について

農業経営のヒント

どんな資格?

公庫のホームページには、次のように記されています。

○ 日本政策金融公庫の農業経営アドバイザー制度(平成17年創設)は、農業経営者に対する経営改善支援に必要なノウハウ を有する人材育成を通じ、農業経営の発展に寄与することが目的。

○ これまで、農業経営アドバイザーの合格者は5,400名超。税理士や金融機関といったそれぞれの立場で農業経営を支援。

合格率は、5割強といったところのようです。

私がこの資格を取得しようとした理由

この資格の存在を知ったのは、平成21年9月1日号の「税と経営」という税金の業界紙です。手元に残しておりますが、表題には、「農業経営アドバイザーに税理士、中小企業診断士が」とあり、目に留まりました。

私は、30歳前後に、ある税務署で農業担当をしておりました。なお、実家は農家ではありません。

ある日仕事で畑を行った際、農家、農協、役場の方々の会話についていけないこと、発芽した野菜の芽を見ても何なのか分からかったことに発奮し、自宅の空いた土地を開墾してみました。その後、家庭菜園の僅かな土地なのに野菜を作ることの大変さを、身をもって知ることになりました。

私の実家は、福岡県南部の田園都市であることも農業の経営に興味を持ち始めた理由の一つだったのかもしれません。

ただ、この資格を取って収入を得ようとは考えておらず、純粋に勉強したかっただけです。

研修、試験の申込み

平成30年度後期(第28回)農業経営アドバーザー研修・試験を申し込みました。募集期間は、8月1日から31日までの1か月です(以下、当時の日にちと曜日です。)。

エントリーシートに志望動機の記載が必要で、私は次のように記していました。

「私が住む筑後市は、筑後平野の中心に位置する田園都市です。私は2年後に職場を退職し、税理士事務所を開業する予定で、その際には筑後市の基幹産業の一つである農業経営者を主として対象にした活動を考えています。中小企業診断士を目指しているのもその一環ですが、農業の経営について、十分勉強する必要があり、志望したものです。」

中小企業診断士の試験内容には、農業、漁業や林業などの一次産業がありません。もちろん、経営という点では同じかもしれませんが、やはり一次産業は特殊であると思っていました。

無事、受講と受験が認められ、テキスト(全部で5,500円程度)を購入しました。

なお、受験料は、25,000円です(公認会計士・税理士資格を有していない方は35,000円。)。

研修

研修は11月5日(月)から8日(木)の4日間です。そして、9日(金)が試験日です。

つまり、丸々1週間、東京に滞在しなければなりません。旅費と宿泊費でいくらになったかは覚えていませんが、後述する第三次試験を含めると10万は有に超えています。

ただ、研修初日と2日目は、「農業簿記・農業税務」と「農業経営診断・改善の進め方」の講義であり、公認会計士と税理士は受講が免除されています(試験も同様です。)。ですから、私は、3日間の拘束で済みました。初日から受講されていた周りの方々の会話を聞いていると、簿記や税務の理解が困難だったという声が聞こえてきます。もしかしたら、不合格者の多くは、農業簿記と農業税務が原因だったのかもしれません。

受講前には、ネット検索して情報を収集していました。不合格になられた方の話が結構見つかり、研修中はかなり集中して聞いていました。「使ったお金が無駄になるのは何としても防がねば」の想いが強くありました。

大きい階段教室が埋まる200名を超える参加者がいらっしゃいました。

第一次試験

最終日の筆記試験は、「農業・農村構造と農業政策(農業問題に関する試験)」、「農地制度・農業所有適格法人(基礎知識)」、「労務管理(知識試験)」、「志望動機(論文試験)」でした。前3つは、研修をまじめに受講しておけば合格点は取れる問題でした。最後の志望動機は、400字詰め原稿用紙2枚にまとめなければなりません。事前に考えておけたので、覚えてきたことを頼りにまとめました。

ちなみに、公認会計士・税理士以外の方は、別に「農業簿記・農業税務(知識試験)」と「農業経営診断・改善の進め方(経営分析・診断論述)」の試験もあります。

第二次試験

次の試験は、農業マーケティングです。これは、「マーケティングについては正しい答がない」という理由で筆記試験になじまず、別途レポート提出となっています。「家でできるなら楽チンじゃん」という世界ではなく、毎年これで落ちる方が何人もいるので、心して提出するようにと脅されました。

私の時のお題は、「あなたの地域の産品(農林水産物及びその加工品)を1つ挙げ、今後の地域ブランド戦略を述べてください。」というものでした。また説明には、「地域で生産量の多い産品を取り上げ、持続的な発展に寄与できるような地域ぐるみの6次産業化についてアドバイスを具体的に述べてください。」「個別経営の6次産業ではなく、地域ぐるみの取り組みを対象とします。」とあります。文字数は、1,500字前後という縛りです。採点基準としては、「合理的か」「納得できるか」「実現可能か」だそうです。

私が住む筑後市の農業は、「何でもあるが、これといった特徴がない」ところです。最終的には、生産額が多い大豆に目を付けてこれを題材としました。採点基準の条件内にまとめること、提出期限が翌週の木曜ということで時間が少なく、結構疲れました。

第1次と第2次の試験結果が到着し、合格しておりました。なお、1科目でも落としていたら不合格です。

第三次試験

年明けの1月18日(金)、第3次試験は、日本政策金融公庫本店4階で行われました。

審査委員と対面方式(グループ面接試験)により実施されたその試験は、どのような質問が出るか分かりません(当たり前ですが)。私たちの面接官は、ジャーナリストの方と日本政策金融公庫農林水産事業本部の部長さんでした。今となっては、何を聞かれたのかまったく覚えていませんが、時間は40分と結構長いです。

どうにか、これも突破したようで、1月25日付けの合格通知が届きました。これで、無事に農業経営アドバイザー名簿に登録していただくことになりました。

更新

この資格は、5年更新です。5年の間に農業経営アドバイザーミーティングに1回以上出席する必要があります。そのほか、更新の条件が2つあり、①アドバイザーとしてのこれまでの活動成果もしくは活動の抱負、②5年間の活動実績を提出しなければなりません。私はこのことをすっかり忘れていましたが、このブログを書くために引き出した書類を見て思い出しました。ブログの題材にして良かったと心から思っています。

ただ、もう2年間が過ぎていますので、あと3年のうちに提出物を埋める活動が必要です。今後の行動を見直す必要が出てまいりました。

まとめ

  • 合格率は50%強ですが、しっかりと取り組まないと合格できません。
  • 今年は、コロナ対策のためにオンラインで研修が行われるそうなので、旅費と宿泊料が不要です。
  • 合格した後も農業に関わっていないと、資格の更新ができません。

【編集後記】

7月末頃、農業経営アドバイザーの資格を有する者に案内があった仕事に応募したところ、無事、仕事を得ることができました。9月11日(金)からスタートし納期は17日(木)です。土日もがんばって、昨日(月曜日)、納期を待たずに、その仕事を完了させました。報酬がある初仕事が、税理士としてでも、中小企業診断士としてでもなく農業経営アドバイザーとしてとは、まったく想定していませんでした。前述のとおり、収入を得るつもりではなかったので、仕事が来たのはびっくりです。女房からは「新手の詐欺じゃないの?」と言われましたが、まじめな内容でしたから、詐欺ではないでしょう。「芸(資格)は身を助く」を体験しました。

〈昨日の健康〉

  • 休肝日
  • 水分補給目標2,000ml達成(食事以外)

[昨日の感謝]

卓球センターのお客様が、私がときどき動画を投稿している筑後ジュニア(卓球)の「Facebookページを見ました。子供たち上手ですね。」とおっしゃってくださいました。見てくださったこと、褒めてくださったことが嬉しいです。(感謝!)

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