田中耕一税理士・中小企業診断士事務所が経営革新等支援機関に認定されました(認定支援機関) #149

税金や会計のヒント

経営革新等支援機関とは

中小企業庁ホームページには、次のように記されています。

中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」(現在の「中小企業等経営強化法」)が施行され、中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。

認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を経営革新等支援機関として認定することにより、中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。

経営革新等支援機関は、一般的には「認定支援機関」と呼ばれることが多いです。支援機関として認定されたからでしょうけど、何をやるのか分かりにくいです。そのため私は、「経営支援機関」と略した方が世間的にも分かり易いと考えています。

登録者

全国で約34,000機関あり、金融機関、士業、商工会議所・商工会などが認定されています。士業では、弁護士、税理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士、行政書士及び中小企業診断士がいます。

全体の8割が税理士や公認会計士で、中小企業診断士は1,000機関余りです。しかし、「経営課題を解決」という目的から言えば、中小企業診断士の業務内容が最も近いと考えます。例えば事業計画書を策定できる士業と言えば、中小企業診断士です。税理士でさえ、(簡易なものを除き)事業計画書を策定できる方はそれほど多いとは思えません。

一方で、税理士が活用できるものもあります。後述する特定の節税策を使う場合も認定支援機関の関与が必要とされることがあるからです。

支援の流れ

  1. 「業績アップを図りたい」「経営の向上を図りたい」という経営課題を持つ中小企業・小規模事業者は、認定支援機関に相談します。
  2. 認定支援機関では、経営状況の把握(財務分析、経営課題の抽出)事業計画作成(計画策定に向けた支援・助言)事業計画実行(事業の実施に必要な支援・助言)等を行います。
  3. 事業者は、「売上拡大」や「新規事業開拓」などの事業計画を実現します。
  4. 最終的に認定支援機関は、巡回監査の実施・改善策の提案などを行います。

ただし、ここまで認定支援機関に寄り添っていただく場合、機関に支払う報酬も相当必要です。数日程度ではできない作業です。

そこで活用したいのが405事業(経営改善策定支援事業)です。

405事業は、金融支援を伴う本格的な経営改善の取組みが必要な中小企業・小規模事業を対象として、認定支援機関が経営改善計画の策定を支援し、経営改善の取組みを促すものです。中小企業・小規模事業者が認定支援機関に対し負担する経営改善計画策定支援に要する計画策定費用及びフォローアップ費用について、経営改善支援センターが、3分の2(上限200万円)を負担します。

もちろん一定の条件はありますが、405事業を上手く活用して経営改善を図ってください。

認定支援機関が必要とされる事業

認定支援機関から支援を受けないと行えない補助金や税制優遇などの申請があります。

2021年4月2日現在、国の補助事業等において必要とされる認定支援機関(経営革新等支援機関)の役割は、次のとおりです。なお、「◎」は必須、「〇」は他の機関や条件でも可というものです。

  • ◎ 事業再構築補助金
  • 〇 緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金
  • 〇 新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付制度(新型コロナ対策資本性劣後ローン)
  • ◎ 中小企業経営強化税制C類型
  • ◎ 個人事業者の遺留分に関する民法特例(経営承継円滑化法)
  • 〇 事業承継・集約・活性化支援資金融資事業
  • ◎ 個人版事業承継税制(経営承継円滑化法)
  • ◎ 先端設備等導入計画(生産性向上特別措置法)
  • ◎ 法人版事業承継税制(経営承継円滑化法)
  • ◎ 事業承継補助金
  • 〇 企業再建資金(企業再生貸付制度)
  • ◎ 中小企業経営力強化資金融資事業
  • ◎ 経営改善計画策定支援事業
  • ◎ 経営力強化保証制度

例えば、「最大1億円の補助」として注目されている事業再構築補助金は、経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定することが、補助対象の要件とされています。

経営革新等支援機関に認定されるまで

認定にあたっては、以下の認定基準が設けられています。

  • 税務、金融及び企業の財務に関する専門的な知識を有していること(要件①)
  • 中小企業・小規模事業者等に対する支援に関し、法定業務に係る1年以上の実務経験を含む3年以上の実務経験を有していること(要件②)

要件①については、税理士、弁護士、公認会計士及び中小企業診断士は、専門的知識が求められる国家資格を有しているということで、自動的に満たすこととされています。

要件②については、創業から1年に満たない私は該当しないということになりますが、中小機構にて指定された研修(実践研修)を受講し、試験に合格しておけば満たされるという特例があります。

私は今年2月に、中小企業大学校東京校でこの研修を受講して試験に合格しましたので、要件が満たされました。

認定されるには電子申請システムから申請をします。

前述の2つの要件を証明する書類や過去3年分の所得金額、今後3年間の収支予測とその根拠を示す必要があります。

2021年3月8日に申請し、同年4月30日に晴れて認定されました。これにより、私の活動範囲も広がりますし、クライアントの支援にも役立てられます。

【編集後記】

福岡県も緊急事態宣言が発せられるようです。先日書いた、月次支援金を利用される方も出てくることでしょう。ただ、コロナ禍の真っただ中であった前年より更に50%以上も売上が減少することは死活問題かもしれません。事業者の応援のために、こちらの事前確認も引き続き無料で行う予定です。

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