農業簿記会計
日商簿記と言えば、簿記を勉強された多くの方が試験に挑戦されたと思います。他の検定試験同様、1級と2級のレベルの差が極めて大きく、1級を保有されている方は周りから「凄い!」と評価されます。私は2級を持っていますが、凡人レベルでは2級が最高峰です(笑)。
3級の受験科目は、商業簿記と会計学です。2級以上は、これに工業簿記と原価計算が加わります。ご覧のとおり、ここには農業簿記は入っておりません。そのため、農業簿記検定は、一般社団法人日本ビジネス技能検定協会という別の団体が実施しています。マイナーな資格ですが、私は、こちらも2級までは取得しております。
今は有りませんが、ずっと以前に税務署には、農業担当者がおりました。私も経験しました。税務署の中でも特別な専門職みたいな存在でした。農業所得の計算はやや特殊な部分がありますので、農業が絡むと他の職員は担当者を頼りにします。また当時は、農家の税務調査は、原則として農業担当者が赴きます。私も、いろいろな生産者を調査しました。懐かしい思い出です。
耐用年数表
今年の春から、ある農業の団体の担当税理士に就任しました。いつか農業生産者の役に立ちたいと、農業簿記検定や農業経営アドバイザーの資格を取得していた私にとっては願ってもない話です。打診が来た際には、二つ返事で承諾いたしました。
そうこうしていたら、税理士を探している農業生産者を紹介され、顧問税理士となる契約を結びました。私は農家の出ではありませんが、少しは農業のことが分かる(あくまでも一般の方との相対的比較)ので、お役に立てればと考えています。
会計には減価償却という考え方があります。ある期の収入と支出、そして利益を正確に割り出すため、「複数年に渡って利益をもたらす支出」は、その支出した年に全額経費にするのではなく、利益をもたらす期間に分散して経費にするという考え方です。自動車は4~6年で償却するなどは、一般の方もよくご存じです。
ところで、一定の生き物も減価償却資産とされています。例えば、乳用牛は4年、栗の樹は25年です。これらは、財務省令の生物の耐用年数表に定められています。農業所得の復習をしていたある日、これを眺めていたら、「アスパラガス 11年」というのを発見しました。
生物は、収入が発生するまでに一定の費用を投資する必要があります。製造業の設備投資みたいに、購入したらすぐにモノの生産が始まって収入を発生するようなものではありません。乳用牛だったら、乳を出せるようになるまでの餌代、労賃など直接要した費用を積み重ねて資産として計上します。栗の樹も、出荷できる実を付けるまでに苗代、肥料代、農薬代、労賃などがかかります。そして、この間の支出は、必要経費とは別に管理しておかなければなりません。
生物も、単年ではなく、複数年に渡って収入を生み出すので、減価償却資産として管理することは納得できます。計算の面倒くささは置いておいて…。
アスパラガスを減価償却資産とする必要性
通常野菜は、植えてから1度収穫すれば終わりのもの(芋、キャベツなど)や一定の時期のみ何度も収穫できるもの(とまと、きゅうり、ピーマンなど)がほとんどです。そのような中、アスパラガスは、果樹のように、1度植えれば10年以上収穫できる珍しい野菜です。この意味では確かにアスパラガスは、減価償却資産と考えられます。
ただ、家畜や果樹と少し違うのは、①アスパラガスは2年目から収穫できる(収穫が可能となるまでの期間が短い)、②1株当たりそれほど多額の費用を必要としないことです。先日、私が家庭菜園用に購入した苗(2年目)は1株250円でした。
これらの点を考えれば、アスパラガスは、強いて減価償却資産としなくても差し支えないのではないかというのが私の主張です。
ネットでググっても、アスパラガスの耐用年数に関する記事を書いておられるサイトは、わずか3か所でしたので、なぜこうなっているのかが分かりませんでした。
実際にアスパラガス農家の帳簿を見たことがありませんので、どのように生産・記帳されているのか分かりません。ただ、私は以前から家庭菜園レベルでアスパラガスを栽培していますので、少しは分かります。もちろんプロ農家とは栽培レベルが全く違うだろうということは想像に難くありません。いつか、アスパラガス農家の方の顧問税理士になることができたら、改めて、研究してみたいと考えています(可能なら、税理士会を通じて税制改正の提案をしてみたいです。)。
【編集後記】
アスパラガスは、収穫時期になれば、家庭菜園レベルでも、食べきれないくらい毎日芽が出ます。育てていて楽しい野菜です。
さて、昨日、私にもワクチン接種券が届きました。28日(月)9時から予約受付開始です。痛風の治療をしていただける病院をいくつかピックアップしました。このいずれかの病院を予約したいと思います。ワクチンついでに痛風の治療に取り込もうと思います。今までは頑なに自分で尿酸値を下げようと10年以上取り組んできましたが、下がりませんでした。ついに薬に頼らなくてはならないことになるでしょう。悔しいけど、仕方ありません。この激痛と不自由さに比べれば…。
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