多くのビジネス書を読んで見つけた成功するための共通事項 #177

経営のヒント

はじめに

起業する際、経営が上手くいかない場合、人は何かヒントを探して、誰かに相談する、ビジネス書を手に取るなどの行為を選ぶことがあるでしょう。

誰かに相談する

起業に当たり、どなたにも相談せずに進める方は、ほぼいらっしゃらないと思います。ただ、そこで、「何を聞くか(知りたいか)」は、人それぞれでしょう。

私の場合も、創業数年前から、何人かの先輩税理士・先輩中小企業診断士の方々に話を伺いました。その中には、有料の個別コンサルティングもあります。私がこれらの方々に聞いたのは、「どうやったら成功するか。」ではなく、「どのように運営されてこられましたか。」が中心です。話を聞く過程の中で、やって良かったことや良くなかったことの例を伺うこともありますが、それは私にとってはメインではありません。私は、自分の税理士兼中小企業診断士としてのスタイルを構築するために相談していました。

巷に溢れるビジネス書への疑問

御多分に漏れず、私も多くのビジネス書を読みました。これは、自分の事業の前に、中小企業診断士としての勉強(試験対策を含む)の意味もあります。

そして、これらの本では、多くの成功事例が紹介されています。この会社は、「このようなことがきっかけで大きくなった」、「起死回生の逆転劇があった」など、なるほどと感心する素晴らしい内容ばかりです。

ところで私は、何にでも疑問を持つ性格です。亡き父から、「話は両方から聞け」と何度も言い聞かせられたからだと思います。そして私は、多くの本を読む中でふと、次のように考えました。

  1. そもそもなぜ、これほど多くのビジネス書があるのか。
  2. 多くの方がこられの本を読んでいるはずなのに、継続(成功)できない事業者がこれほど多いのはなぜか。
  3. 失敗例をまとめたビジネス書がない。
  4. これをやったら成功するという王道はないのか。

などです。

ビジネス書はたくさんありますが、似たような内容が多いです。紹介する成功事例が違ったり、物事の視点を変えただけで言っていることは結局同じというものもあります。「バビロン大富豪の教え」、「ドラッカーのマネジメント」などの有名どころがベースになっていることも多いです。

私が知りたかったのは失敗例

ビジネス書を読む中で思ったのは、「成功事例をそのまま真似てもあまり意味がない。」ということです。なぜなら、成功の方法(パターン)は、星の数ほどあるからです。将棋で、最初の1手から玉を詰ませるためにたくさんの道があるのと同様です。

さらに、これらのビジネス書では、何人がその方法を行って何人が成功したのかというデータがありません。たった1人の成功者の後ろに、同じ(似たような)方法を採用した99人の失敗者がいるかもしれないのです。成功した方の良かったところだけを紹介するのではなく、失敗者の悪かったところを紹介しなければ、論文としては成立しません(成功者が成功するまでの過程での失敗は書いてあります。)。

失敗の要因も複合的でしょうけど、私は、何がいけなかったのか、失敗の原因の方をより知りたいです。そのようなビジネス書はまだ見つけておりません。ただ、失敗例ばかりを書いても本は売れないでしょうね。分析しようとしても、嫌がられますでしょう。

成功のための共通事項

それでも、ビジネス書を読むことは得るものがありました。成功のための共通事項が私なりに見つかったからです。

それは、「やらないことを決めておく。」ということです。

あれもやりたい、これもやりたいと、創業前後ではいろいろなアイディアに溢れるでしょう。不安の中で、どれか一つでも当たってくれればと思うのは人の常です。しかし、リソース(資産:人、モノ、金、情報)には限りがあります。特に、リソースが乏しい中小企業にとっては、これを分散することほど良くないことははっきりしています。

長く売れているビジネス書では、この「やらないことを決めておく。」ことを推奨していました。他人や社会が決める「してはいけないこと。」も必要ですが、「やらないことを決めておく。」は自分が主体的に決めることです。

ここをしっかりとすることで、経営の土台が揺るがなくなります。経営理念やビジョンでは、やる(やりたい)ことを示す光の部分ですが、こちらは影です。陰と陽、アクセルとブレーキ、光と影、これらは一対であり別々には存在できません。創業される方には、明るい未来に到着するまでの障害が少なくなるよう、ぜひ、「やらないことを決めておく。」ことをお勧めします。

私のやらないことリスト

私は、このホームページのプロフィールに、「私に仕事を依頼されない方が良い方」を列挙し、自分なりの「やらないことリスト」を作っています。

  • 事業に現状維持を求められる方
  • ITによる経理の効率化に興味がない方
  • 記帳代行(丸投げ)を求められる方
  • 過度な節税(脱税)を求められる方
  • 税理士事務所に規模を求められる方 ← 私は、ソロ税理士です。
  • 税理士・中小企業診断士に安さを求められる方 ← 税理士紹介サイトをお勧めします。
  • 申告書に印鑑だけ押してもらいたい方

私の経営理念は、「成長支援」です。これを達成するために、このリストを作りました。

実際にこれまで2件、この方針に沿って契約をお断りしました。開業したての税理士は喉から手が出るほど顧問先が欲しいところですが、「長期的には、自分の方針に沿わない契約は失うものの方が大きい。」と相談した先輩税理士たちから聞いていました。

このリストのおかげで、逡巡することなく他の税理士をお勧めすることができました。「やらないことを決めておく。」心地よさ、安心感は、ストレスを大幅に減少してくれています。

何を持って「成功」というのかは人それぞれですが、世間では「(より多くの)経済的利益を得る」、「店舗が大きくなる・増える」、「従業員が増える」などを思い浮かべられると思います。

翻って自分の事業を見てみると、収入は少ない、事務所は3坪、従業員はいない、ですので、人様から「成功している」とは到底見られていないことでしょう。しかし、経営理念はブレていない、ビジョン(望ましい未来像)やビジョン(果たすべき使命)に向かって着実に進んでいる、バリュー(行動指針)に沿った行動ができています。この点に限れば、私の事業は成功していると自負しています。

【編集後記】

BGMを聞きながら、やりたいことをやりたいだけやっている、という今の仕事ですが、1日が過ぎるのや月日が経つのを、とても速く感じています。

嬉しいような嬉しくないような。

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