中小企業の戦い方の手本のような「キレイゴトぬきの農業論」(久松達央著)

経営のヒント

久しぶりに一気に読み終えた本

帯には、「有機=美味で安全、農家=清貧な弱者、農業=体力が必要←全部、カン違いです。」とあります。

これらのことを論理的に説明されていて、とても納得できました。

お勧めの一冊です。

また、農業以外の分野の方にも参考になるような、小規模経営のノウハウも詰まっています。

中小企業は見習いたい戦略の数々

以下は、TAC出版の「中小企業診断士スピードテキスト 企業経営理論」からも一部引用(青色マーカー部分)しています。

このスピードテキスト(略して「スピテキ」)は、私も診断士試験の際に読み込んだものですが、経営の基礎理論が体系的に分かりやすく書かれています。受験されない方でも、経営のことを勉強されたい方は、ぜひこれをお買い求めください。経営全体のことが体系的に記されており、本格的に経営の勉強をされたことがない方にとっては、経営の良きバイブルになると確信しています。

嘘はいつかバレる

久松氏は、有機農業をされています。その方が「有機=美味で安全」ではないとおっしゃっています。そのように宣伝することは、嘘をついていることになると。

したがって、久松氏は、「有機」の持つイメージを武器にはされておられません。「有機だから美味しい」のではなく「適した時期に、適した品種を健康に育て、鮮度良く届ける」から美味しいと言われます。

賢い消費者は、「有機=美味で安全」ではないことに気付いているそうです。賢くない私は、イメージに騙されておりました。

現代はマーケットインの時代です

久松氏は、「農業界はマーケットレビューより、仲間内での評価が選考する社会になっている」と感じられています。

久松氏は、「いい物かどうかは、仲間ではなくお客さんが決める事だ」と主張されます。

さて、マーケティングコンセプト(基本理念)は、時代とともに変遷を遂げています。

消費者は品質、有用性に優れ、特徴のある製品を好むので、企業は常に製品の改良に努力しなければならないという考え方を「製品志向」と言います。「良い製品を作れば売れるはずだ」という考えです。「プロダクトアウト」とも言います。

一見正しそうですが、生産者・販売者が消費者のニーズを誤って判断し、消費者が気に入らなかったり、別のモノを求め始めていたりすることに気付かない近視眼的マーケティングに陥ることがあります。

しかし、久松氏が選択しているのは、消費者のニーズに焦点を当てる「マーケットイン(ニーズ志向)」という考え方です。「製品志向」ではなく、消費者が求めるものを作るという「顧客志向」というマーケティングコンセプトです。

小企業はニッチャーになるべき

久松氏の農園は、直販専門です。選ばれたのは、購買層の多いボリュームゾーンへのアプローチではなく、焦点を絞り込んだニッチ戦略です。

競争地位別戦略という言葉があります。企業の業界における競争地位は、市場占有率に基づき、リーダー(最大のシェア)、チャレンジャー(リーダーに挑戦)、フォロワー(現状維持)、ニッチャー(リーダーが扱わない分野)の4類型に分類されます。

久松氏は、ニッチャーとして、大規模な市場出荷の農家にはできないことをされています。私は、これは、中小企業ができる限り選んだ方が良い戦略と考えています。

自分の強みを持ち差別化戦略を図る

久松氏の農園は、多品種少量の野菜を作られています。これは、他の農家がやらない(やりたがらない)生産方法です。そのため、見事な差別化になっています。中小企業は、自らの強みを伸ばし、この差別化を図って生き残りをかけるべきです。

ターゲットを絞る

中小企業、特に小企業は、安売り合戦に巻き込まれた場合、大手に勝てる訳がありません。久松氏の農園は、「高品質・高価格路線」に偏っています。一見、「これでは買ってくれる人が少ない」と思われるかもしれません。確かに少ないでしょう。しかし、「それでも高品質な物が欲しい」というコアな消費者は一定割合いらっしゃいます。そこにターゲットを絞られています。

例えば、日本人千人に1人そのような方がいらっしゃるとすれば、1億人÷千=10万人です。ネットがない時代でしたらその10万人を探すのは困難だったことでしょうが、今は違います。

市場を細分化し、その細分化された市場の中で最も適切な市場を標的(ターゲット)とし、その標的に対して最も効果的なマーケティング手段を投入していく方法をターゲットマーケティングと言います。まさに、これをそのまま採用されておられます。

私自身もこれを採用しています。

  • クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード)を使って自ら記帳する(したい)方
  • 常に成長を意識し、そのための努力を惜しまない方
  • ITを活用して経理や事業を効率化したい方
  • 記帳の目的を税金の申告のためだけではなく、経営のための指標と考えらえる方
  • (年齢や立場に関わりなく)お互いを対等と考えてくださる方 ← 私を「先生」と呼ばない方
  • 税理士・中小企業診断士への支出を「経費」ではなく「投資」と考えてくださる方 

私のターゲットは、このような方です。私は、このように考える方を精一杯応援したいと心から思っています(楽しそうです。)。私の場合、そのような方と、あと数名出会えたら、それで十分です。

まとめ

  • 嘘はいつかバレる
  • 現代はマーケットインの時代です
  • 小企業はニッチャーになるべき
  • 自分の強みを持ち差別化戦略を図る
  • ターゲットを絞る

「キレイゴトぬきの農業論」(久松達央著)では、紹介した以外の戦略もいろいろと書かれています。ぜひお読みください。

【編集後記】

私は、朝の味噌汁担当です。私は米みそが好きなのですが、家族は合わせ派です。多数決で負けておりますので、我が家のみそは、合わせです。

私が作る味噌汁は、具だくさんと言うより具だらけです。野菜が大好きですのでたくさん入れます。主にキノコ類ですが、他にもいろいろ入れます。

先々週、小松菜を買って入れてみました。ところが…。「美味しくない!」。

ということで、さっそく久松農園の野菜を注文してみました。昨夜届きましたので、今朝の献立は、届いた小松菜の半分を味噌汁の具にし、残りはバターと醤油で炒めただけの単純なものを作りました。

料理は上手くない私が作っても、とても美味しくいただけました!

さらに、昨日、日田の友人から頂いた新米をさっそく炊きました。もっちりして、まるでもち米です。普段は、ご飯は1膳しか食べませんが、今日はお代わりしてしまいました! ダイエットの敵とも言えます。

このような朝食は、今日一日を活性化させます。有り難いことです。

[昨日の健康]

木曜夜は、一般の方々が卓球に来られます。今まではジュニアの相手しかしておりませんでしたが、大人の方々と練習しているおかげで、少し上手くなってきたような気がしています。

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