新たな補助金
中身を見ますと、「新たなバラマキ」と思わないでもありません。そのくらい、ハードルが低い(のではないかと思われるような)補助金です。
持続化給付金といい、この補助金といい、「補助金って簡単に貰えるもの」と思われたら、私たち中小企業診断士の価値が下がってしまわないか心配になってしまいます。
最初にこの補助金の名称を見たとき、「多角化経営」とか「転業」を思い浮かべました。そのため、「(補助金目当てに、十分な検討もせずに新たな事業に手を出して失敗しないといいけどなぁ。)」なんて考えていました。
ところが、実際に公表された内容(経済産業省の活用イメージ)を見ると、以下のような場合でも対象になっています。
飲食業
- 喫茶店経営において、飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。
- 居酒屋経営において、オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
- レストラン経営において、店舗の一部を改修し、新たにドライブイン形式での食事のテイクアウト販売を実施。
- 弁当販売において、新規に高齢者向けの食事宅配事業を開始。地域の高齢化へのニーズに対応。
小売業
- 衣服販売業において、衣料品のネット販売やサブスクリプション形式のサービス事業に業態を転換。
- ガソリン販売において、新規にフィットネスジムの運営を開始。地域の健康増進ニーズに対応。
サービス業
- ヨガ教室において、室内での蜜を回避するため、新たにオンライン形式でのヨガ教室の運営を開始。
- 高齢者向けデイサービスにおいて、一部事業を他社に譲渡。病院向けの給食、事務等の受託サービスを新規に開始。
中小企業庁の発表内容
以下は、中小企業庁のミラサポplusからの引用です。
事業目的・概要
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するために中小企業等の事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要です。
そのため、新規事業分野への進出等の新分野展開、業態転換、事業・業 種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事 業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援します。
また、事業再構築を通じて中小企業等が事業規模を拡大し中堅企業に成長することや、海外展開を強化し市場の新規開拓を行うことが特に重要であることから、本事業ではこれらを志向する企業をより一層強力に支援します。
本事業では、中小企業等と認定支援機関や金融機関が共同で事業計画を策定し、両者が連携し一体となって取り組む事業再構築を支援します。
成果目標
事業終了後3~5年で、付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上の増加を目指します。
補助対象要件
①申請前の直近6カ月間のうち、任意の3カ月の合計売上高が、コロナ以前の同3カ月の合計売上高と比較して10%以上減少している中小企業等。
②自社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が示す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定支援機関等と策定した中小企業等。
補助金額・補助率
補助金額 100万円~1億円
補助率 2/3又は1/2
まとめ
補助金目当てに急に事業の再構築をするには、リスクがありますのであまりお勧めしませんが、ちょうど予定していた方や検討していた方にとっては、有り難い補助金だと思います。
【編集後記】
「これって、似たような補助金、この前やったじゃん。」とツッコミたくなる内容です。
一連のコロナ関連の補助金は、各省庁、競い合って様々な名称で乱発しています。一般の方には情報が届かないので目立たない(お気づきにならない)かもしれませんが、それぞれの業種や団体には、話が行っています。
「政治」なので理屈ではない部分があることは承知していますが、将来、どうやってこの膨大な借金を返済するのだろうかと、税を集めることの苦労を知っている私は、相当危惧する次第です。
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