最近体験した接客(接遇)について考える #35

経営のヒント

接客と接待と接遇の違い

  • 接客:客に接してもてなすこと。
  • 接待:来客の世話をすること。食事や湯茶をふるまうこと。
  • 接遇:仕事の上で、人と応対すること。

私が持つ辞書にはこのように書かれています。広い意味で客をもてなすことが接客で、そのうち仕事(ビジネス)に限定したものが接遇のようです。

確かに、元居た職場では、接遇をという言葉を使い、接客とは言っておりませんでした。

ネットで見ると、接客の進化型が接遇みたいに書かれています。よりもてなす感じでしょうか。

接客にお金を払う

接客というサービスにお金を支払うという感覚はありますか。

私はあります。少しくらい高くても、同じ(近い)モノなら私は、接客(態度、知識、分かり易さ)が良い店(人)から購入します。接客には価値があります。印象に残るような店(人)だったら、他人にも勧めます。

何も、「お客様は神様」扱いを求めているのではありません。対価を支払う方と受け取る方は対等で良いと考えていますので、必要最低限の礼儀をもって、普通に扱っていただければ十分です。

そのような考えを持っておりますから、よほどの不満がない限り、お金を支払う際には、「(売ってくれて、サービスしてくれて)ありがとう」と言うように努めています。

某中古本販売業

店で本を選んでいると、あちらこちらから「いらっしゃいませ~」の声がします。しかし、それは、客の方を見ずに、例えば中古本を見ながら(整理しながら)声を発しておられます。機械的にあちらこちらから連呼されているアレです。ネットで調べたら、「やまびこ挨拶」という名称が付けられていました(ネーミング上手いなぁ)。

特定の従業員だけではないので、おそらくお店の方針なのでしょう。でも、これは、接客(接遇)としていかがなものかと思います。

しないよりいいではないか、という考えもあるでしょう。また、不愉快には感じない方もいらっしゃるかもしれません。でも、私には、ものすごく違和感があります。そして、私と同じように感じる方がネットにたくさん投稿されています。

あいさつは、人と人を結びつけるツールです。私がこの店の経営コンサルタントでしたら、すぐに提案するでしょう。「あいさつは、相手の顔を見ながら行うべきです。」と。このようなあいさつなら不満を持つ方は、皆無だと思います。

某県立体育館

10年以上、気持ちよく利用させていました。ところが、1~2年前からスタッフが代わられ、温かく感じていた雰囲気が、最近は言葉がきつく感じられます。

土曜の専有利用を希望していますが、同じように土日の利用を求める団体が殺到しています。そのため私たちは、利用者とは言え立場は弱く、体育館を確保するために、少々不愉快に思っていても機嫌を損なわないように努めてきました。

しかし、ある日の私と体育館の責任者のやりとりを後ろで見ていたウチのチームのコーチと保護者が驚いて、後に「『貸してやる』という態度だ。」「『使っていただく』という気持ちが必要だ。」などと憤慨しておりました。私も勇気を出して(今後の不利益を覚悟した上で)、そのことをその方にお伝えしたところ、その回答は、

「(コロナ対策で)マスクをしており聞こえにくいと思って大きな声を出した。」

とのこと。開いた口が塞がりませんでした…。

まとめ

接客(接遇)は、もろ刃の剣です。そのため、従業員教育は極めて重要です。お金はかかりますが、覆面調査(ミステリーショッパー)を依頼してみるのも良いかもしれません。

味や品物が良ければ必ず売れるという時代ではありません。お客は、気持ちよい接客も求めています。接客で差別化できれば、それはとても素晴らしいことです。

【編集後記】

私は、元の職場で、接遇研修の講師もしていました。

接遇でのクレームは、一般常識から見れば行き過ぎたものや違法(に近い)な要求ではない限り、基本的に謝るしかありません。言い訳したら、ますます信頼を失うか、火に油を注ぐだけです。

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