複数の収入源を確保しておくことの大切さ #82

経営のヒント

卵は一つのカゴに盛るな

株式相場の世界での有名な格言ですが、私たちの普段の生活にも役立つ名言です。

卵を一つのカゴに入れて持っていると、それを落とした場合全部割れてしまいます。しかし、卵を複数のカゴに分けて盛ることで、どれかを落として割れたとしても残りの卵には影響を受けずに済みます。リスク分散の考え方です。投資をされている方には、釈迦に説法でしょうけど。

たくさんのお金を得ることを成功と呼ぶならば、成功者の多くはこれを実践されています。

給与所得者

2020年7月に公務員を退職したことで一番困ったことは、定期的にお金が入ってこなくなったことです。40年余りの公務員生活では、今手元に現金が無くても、1か月以内には銀行預金の残高が増えています。それが「当たり前」であり、疑問を持つこともありません。

定期的に一定のお金が振り込まれる「ありがたみ」は、無くなってからより実感しています。これまでそういう心配は一切してこなかった幸せは、失ってから気付くものです。

月次試算表

顧問税理士を抱える方は、毎月、税理士が試算表を持って内容の説明に来られる場合が多いと思います。月次試算表は、1か月の事業の成績表です。「節税」のためではなく、「経営」のために、より重要です。キャッシュが不足しないよう、キャッシュフローにも着目してください。

私は、それをプライベートでもやっています。

生活費の出入りを管理している銀行通帳に月毎に赤いラインを引き、月末の残高に黄色マーカーを付けることにしています。ちょっとした月次の試算表が出来上がります。

月末の残高の推移だけでも、今後の収支の見積りが可能です。

準備してきた収入源

私は、個人事業主として創業したてです。税理士と中小企業診断士を名乗っていますが、士業は、飲食店や小売業の創業とは違い、店を開いたら直ぐに現金が入っている商売ではありません。

それは想定できておりましたので、退職後に備えて、複数の安定した収入を得る努力はしてまいりました。このことは、ファイナンシャルプランナーとしての知識を有していたからこそ、真剣に取り組んで来られたのだと考えています。

それは、30年間掛け続けてきた個人年金、少しずつ増やしてきた株式による配当金と家賃収入です。卵のカゴを3つに分けて持っております。

それぞれは僅かずつの収入しかありませんが、これらのおかげで、「貯蓄はできないけど、慎ましい生活をすれば借金しなくて良い。」というバランスを保っています。

ただし、株式配当もこのコロナ禍で今後はどうなるか分からないし、家賃収入も人口減少の今は部屋に空きがでる場合があります。そういう意味では、個人年金以外はリスクがあります。

上がる根拠が見当たらない最近の株高も、30年前のバブル崩壊を知る世代としては、暴落の可能性が高いと考えています。当時の人たちの大半は、「株は上がり続ける」と信じ込んでいました。弾けて初めて、皆さん目が覚めた感じでしたね。

事業での収入源

現在の事業での収入は、税理士より中小企業診断士の方が多いです。

中小企業診断士の資格のおかげで、補助金の申請や審査の仕事が舞い込み、現在は収入の柱になっています。しかし、補助金の仕事というのは単発が多く、浮き沈み(リスク)があります。

一方で税理士は、多くが顧問契約という安定した収入が見込める事業です。また、税金の申告は毎年必要ですから、税理士が不要という時代が来るとは考えにくいです。ただし、AIの台頭で、「記帳代行(顧客の帳簿を付ける)」という仕事は、減少することが予想されています。

税理士も中小企業診断士でも、新たな収入を見込むために活動しています。補助金と顧問契約だけではなく、もっと多くの種類のカゴを持とうと画策しています。リスクを分散し、複数の収入源を確保することは、生きていく上で必要不可欠です。

また、自分自身がこれをできないと、経営コンサルタントとしては失格でしょう。

サラリーマンの賃金は我慢賃

サラリーマンの仕事は厳しく、大変なことがたくさんあるでしょう。経営陣からの過大な要求、上司や同僚との人間関係、長時間の拘束、遠方への転勤、顧客からの理不尽なクレームなど、ストレスが溜まる職業です。

「サラリーマンの賃金は我慢賃」というのが私の持論です。仕事は楽しいとは思いません。楽しいことは、「お金を払って行う」ものという考えです。

では、なぜそれを続けられたのか。我慢の中に「やりがい(満足感)」を探してきました。それは、大きいものや小さいもの、長期的なものや短期的なものなど、自分の中で目標をたて、工夫しながらそれをやり遂げることで「やりがい(満足感)」を得るように努めてきました。

なお、私が、コンピュータ(パソコン、クラウド、ネットなど)を積極的に利用するのも、「同じ結果を出すなら道具を使った方が良い」という合理的な考えからです。使いこなすまでには一定の時間がかかりますが、長期的に見れば圧倒的に効率的です。

どうせ同じこと(仕事)をするなら、嫌々やるより、やりがいを持ってやった方が、ストレスが遥かに小さくて済みます。

副業の勧め

日本の労働者(正規雇用)は、いろいろな面で守られています。

その上最近は、政府の後押しもあって副業が推奨されつつあります。従来は、何か事業を始めるには、退職というリスクを払って進まなくてはなりませんでした。しかし今は、副業という、「いつでも撤退できる」安全な立ち位置にいながら、リスクを最小限に抑えることができます。副業が事業として成功できる目途が立ったら、思い切って退職すれば良いことです。

お勤めの企業が副業を認めているのか、どのような手続きが必要なのかは調べておきましょう。

頑丈な卵のカゴ(正規雇用)を1つ持ちながら、別の卵のカゴを持てる(副業ができる)現代は、意欲と能力がある方にとっては良い時代です。

まとめ

事業者の方は、現在の事業を見直し、収入の柱が何本も立つよう常日頃から考えておいてください。現在成功している主たる事業から派生する事業は、成功する確率が高いことから最もリスクが低くおススメです。

また、副業が認められている企業にお勤めの方は、副業にチャレンジしてみてください。ただし、くれぐれも、一攫千金を狙ったり、儲け話を持ってくる業者に引っ掛かったりしないようにお気を付けください。そんな上手い話は、世のなかにはありませんし、あったら教えてくれません。もしも、そのようは話があったら、その道の信頼ある専門家に一度相談してみてください。

当たり前のことなのですが、毎年、大勢の方が儲け話に乗って大損をしています。美味しい話を聞くと、冷静になれず人の話も聞かなくなってしまうのでしょうね。残念です。

【編集後記】

パチンコが好きな方が、以前の職場にたくさんいらっしゃいました。多くの方が「勝った」ときの話はされるのですが、「負けた」ときの話はされません。

また、一時点で「勝った」方は、それを元手に新たに勝負に出て、長期的に見れば負けておられるのではないでしょうか。

近所のパチンコ店は、いつも車でいっぱいです。「儲け」ではなく「楽しみ」としての目的で遊んでいただければ幸いです。ばくちや投資は、小遣いの範囲内で楽しみ、生活費をつぎ込まないでくださいますようお願い申し上げます。

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