「公的資格を有する第三者」として出入国在留管理局に提出する書類の作成 #205

経営のヒント

2件の依頼

たまたま同時期、まったく別方向から私に対して、「公的資格を有する第三者」として出入国在留管理局に提出する書類の作成を依頼されました。

私は、このようなものを作成する経験がありませんでしたが、依頼者にとっては「受けてもらわないと困る」状況だったこと、何でもやってみたがる性格であることから、受注することになりました。

なお、いずれも、税理士2、中小企業診断士8くらいの感性(経営視点重視)で作成しました。

技能実習生から特定技能へ

恥ずかしながら、技能実習生と特定技能の違いも知りませんでした。今回の仕事を引き受けなければ、勉強することもなかったかもしれません。そういう意味でも、ためになりました。

1件目は、技能実習生を受け入れている事業者です。もともと技能実習生は、原則として技能水準を問われません。一方、特定技能者は、14業種の特定産業分野の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を持った外国人の方々です。依頼先で技能の実習を受けていた方は、特定技能の試験に合格したそうです。

特定技能者を受け入れる事業者は、「特定技能所属機関」でなければなりません。そして、その機関になるには、出入国在留管理局に届出書を提出して認められる必要があります。この届出書に添付する書類があるのですが、その中に、「……の場合には、中小企業診断士、税理士、公認会計士等の企業評価を行う能力があると認められる公的資格を有する第三者が改善の見通しについて評価を行った書面を添付してください。」と記されています。

この評価書の作成を依頼されたのです。

事前に決算書や総勘定元帳などに目を通した後、実際に依頼者のお宅にお邪魔してヒアリングを行いました。適当に書いて、結果的に外国から働きに来られた方が路頭に迷うようなことになった日には私にも責任が生じますので、真剣に対応いたしました。

評価書にどのようなことを書けば良いか分かりませんでしたので、福岡出入国在留管理局に電話して担当者から話を伺いました。「様式はない」「A4で2枚程度に収めてほしい」とのことでした。そこで、重要なポイントを4つに絞り、グラフや表も交えて記載して作成しました。

在留期間更新許可申請

2件目は、ご本人が外国人で、在留資格の更新申請を出したところ審査の過程において、審査資料を追加提出するよう指示があったそうです。その指示は、「公的資格を有する第三者(中小企業診断士や公認会計士)が債務状況の改善の見通しについて評価を行った書面」の提出です。

ご本人が経営する会社が、新型コロナウイルスの影響により赤字となっていたことから、経営の改善が見込めないと更新の許可が出ないようです。

1件目の依頼は紹介でしたが、こちらの依頼はホームページからでした。

何度かメールでやり取りした後、オンライン(zoom)で面談しました。2時間近くかけて、現在の事業の状況(コロナの影響)、今後の事業計画などをヒアリングしました。

翌日、JRを使って、福岡市の本店を訪問しました。やはり、リアルに会い、現場(事務所)を見ないことには、責任ある書類は書けません。

いくつかの新規事業計画のプランを見せていただくとともに、既に動き出している事業については、取引先とのメールの内容も確認しました。それらの計画は、リスクを考慮しても、十分に収益性が確保できると判断しました。

ここまでして、依頼を受けることに決めました。見積書をメール送信し、金額及び条件にご納得いただけましたので、評価書の作成に着手。管理局の提出期限が短かったのでギリギリになりましたが、納期内に収めることができました。

【編集後記】

ニュースで見聞きする、外国人労働者の方々。異国で働くというのはどういう気持ちなのか、私にはなかなか想像できませんし、「自分にはできないだろうなぁ。」などと、彼らの逞しさに感服する次第です。

私が住む筑後市(福岡県南部)にも、若い外国人(アジア系と思われます)がたくさん住んでいます。どのような仕事に就いているのか知りませんが、今回のような仕事を受けていけば、いつか彼らと接触できるかもしれません。いろいろと話を聴いてみたいものです。

などと考えてこの原稿を書いていたら、また1件、似たような依頼が入りました。近いうちに話を伺って、受けるかどうかを判断いたします。

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