令和4年分の所得税の確定申告書の「区分」欄 今年もまとめてみました #234

税金や会計のヒント

過去の記事

この「区分」に関する記事は、過去2回書いています。いずれも、プレビューが多く、皆さん感心があるようです。3匹目のドジョウを狙って、過去の分も含めてすべて紹介します。

なお、過去の記事は、次のとおりです。

収入金額等(7か所)

事業の「営業等」欄

令和4年の記帳・帳簿の保存の状況について、次の場合に応じて、それぞれ次の数字を記入します。なお、4又は5に当てはまる場合、10万円を超える青色申告特別控除(55万円又は65万円控除)の適用は受けられません。

電子帳簿保存法の規定に基づく優良な電子帳簿の要件を満たし、電磁的記録による保存に係る届出書(又は電磁的岐路に係る承認申請書)を提出し、総勘定元帳、仕訳帳等について電磁的記録等による備付け及び保存を行っている場合1
会計ソフト等の電子計算機を使用して記帳している場合(1に該当する場合を除きます。)2
総勘定元帳、仕訳帳等を備え付け、日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳している場合(1及び2に該当する場合を除きます。)3
日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)以外の簡易な方法で記帳している場合(2に該当する場合を除きます。)4
上記のいずれにも該当しない場合(記帳の仕方が分からない場合を含みます。)5
※ 赤字は、前年から変わった部分です。

事業の「農業」欄

上記の「営業等」と同じ区分です。

不動産の「区分1」欄

国外中古建物の不動産所得にかかる損益通算等の特例(措法41の4の3)の適用がある場合は、「1」を記入します。

租税特別措置法第41条の4の3とは、

個人が、令和三年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、当該国外不動産所得の損失の金額に相当する金額は、所得税法第二十六条第二項及び第六十九条第一項の規定その他の所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかつたものとみなす。

です。税金を減らすスキーム(租税回避行為)をつぶすために追加された条文だと思われます。目に余ったのでしょうね。

不動産の「区分2」欄

上記の「営業等」と同じ区分です。

給与

給与収入が850万円~1,000万の方が使用します。今年から作られた「所得金金額調整控除」というものがありますが、これに該当する場合、「1」、「2」、「3」のいずれかの数字を書き込みます。

「1」…「あなたの給与等の収入金額(税込)が850万円を超え、あなた、同一生計配偶者若しくは扶養親族のいずれかが特別障害者である場合、又は23歳未満の扶養親族がいる場合

「2」…「あなたに給与所得と公的年金等の雑所得がある場合で、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等の雑所得の金額の合計額が10万円を超える場合」

「3」…「1」と「2」の両方に該当する場合

雑の「業務」欄

業務に係る雑所得の金額の計算上、現金主義の特例を適用する場合は、「1」を記入します。

雑の「その他」欄

個人年金保険に係る収入がある場合は「1」を、暗号資産取引に係る収入がある場合は「2」を、個人年金保険に係る収入及び暗号資産取引に係る収入の両方がある場合は「3」を記入します。

所得金額等(1か所)

給与

給与所得者の特定支出控除を受ける場合にのみ記入します。「給与所得者の特定支出に関する明細書」の区分番号を記入します。給与所得者が各年において特定支出(①通勤費、②職務上の旅費、③転居費(転任に伴うもの)、④研修費、⑤資格取得費(人の資格を取得するための費用)、⑥帰宅旅費(単身赴任に伴うもの)及び⑦勤務必要経費をいいます。)をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が一定額を超えるときは、特定支出控除の適用を受けることができます。

所得から差し引かれる金額(5か所)

寡婦、ひとり親控除

寡婦控除とひとり親控除を一つの欄で使用しています。そのため、ひとり親控除の方を受ける場合に「区分」欄に「1」を記入します。寡婦控除を受ける場合は、記載不要です。

配偶者(特別)控除「区分1」

配偶者特別控除を適用する場合に、「1」と記入します。配偶者控除を適用する場合は、記載不要です。

配偶者(特別)控除「区分2」

国外居住親族の配偶者がいる場合で、『親族関係書類』及び『送金関係書類』の両方を給与等の支払者に提出・提示している場合以外は「1」を、『親族関係書類』及び『送金関係書類』の両方を給与等の支払者に提出・提示している場合は「2」を記入します。

読みにくい文章です…。

扶養控除

国外居住親族の扶養親族がいる場合で、『親族関係書類』及び『送金関係書類』の両方を給与等の支払者に提出・提示している場合以外は「1」を、『親族関係書類』及び『送金関係書類』の両方を給与等の支払者に提出・提示している場合は「2」を記入します。国外居住親族の扶養親族が複数いる場合は、その全員の『親族関係書類』及び『送金関係書類』を提出・提示している場合にのみ、「2」を記入します。

読みにくさのレベルが、先ほどより上がっています…。

医療費控除

医療費控除において、セルフメディケーション税制による医療費控除の特例を選択する場合は、「1」と記入します。

税金の計算(4か所)

「㉝(数字の33に丸囲み)」欄

事業を営む方が、中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除など、事業所得等の特例に係る税額控除の適用を受ける場合には、左側空欄に「投資税額等」、「区分」に「1」と記入し、控除額を記入します。

さまざまな特例がありますので、項目欄が空欄になっています。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除

「区分1」は、東日本大震災の被災者の方が、適用期間の特例や住宅の再取得等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例又は重複適用の特例の適用を受ける場合、『東日本大震災により自己の所有する家屋が被害を受け居住の用に供することができなくなった場合に住宅借入金等特別控除等を受けられる方へ』を参考に記入します。数字は、「8」と「9」があります。

給与所得者が、既に年末調整でこの控除を受けた金額を記入する場合には、「区分2」に「1」を記入します。

住宅耐震改修特別控除等

一つの欄で複数の控除に使用しているために、「区分」欄が設けられています。

「1」…住宅耐震改修特別控除の場合

「2」…住宅特定改修特別税額控除の場合

「3」…認定住宅新築等特別控除の場合

「4」…複数の控除がある場合

外国税額控除等

「1」…外国税額控除のみ適用があり、かつ、外国税額控除が復興特別所得税から控除されている場合

「2」…分配時調整外国税相当額控除のみ適用があり、かつ、分配時調整外国税相当額控除が復興特別所得税から控除されている場合

「3」…外国税額控除及び分配時調整外国税相当額控除の両方の適用があり、かつ、どちらかの控除(又は両方の控除)が復興特別所得税から控除されている場合

その他(1か所)

「変動・臨時所得金額」欄

これらの所得がある方は、「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」(以下「計算書」といいます。)の作成と提出が必要です。

 ⑴ 計算書④欄に金額がある場合……「区分」欄は、計算書①欄に金額がないときは「3」を記載し、それ以外のときは記載を要しません。

 ⑵ ⑴に該当しない場合で計算書③欄に金額があるとき……「区分」欄は、計算書②欄に金額がないときは「2」を記載し、それ以外のときは記載を要しません。

 ⑶ ⑴及び⑵に該当しない場合で計算書②欄に金額があるとき……「区分」欄は、「1」を記載してください。

【編集後記】

ブログの更新をずいぶんサボっていました(前回は2022年9月26日)。

10月には、通常業務の他に、中小企業診断士として実務従事や補助金の審査、税理士としてインボイスセミナー3件、税務調査3件、相続税申告依頼が立て続けに入り混乱状態でした…。そのしわ寄せが11月以降も続き、今月の法定調書合計表や償却資産申告が一区切りつき、やっとブログを書く気になった次第です。

私は、創業当初から人を雇うつもりはありませんでしたが、初めて、「(誰かが手伝ってくれたら…。)」と思ったところです。

でも、毎年目標にしている、「所得税の確定申告がスタートする2月16日前に全員の申告を終わらせる!」を今年も達成しようと、今は気持ちを切り替えて頑張っています!

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