所得税の確定申告書に追加された「公金受取口座」欄 #235

税金や会計のヒント

変更点

所得税の確定申告書は、従来の「A」と「B」の区分が無くなり一本化されました。

まだ申告書を手で書いていた時代、年末調整が済んだ給与所得者の還付申告書が簡単に掛ける(項目を絞った)「A」の登場は画期的でした。時代が変わって会計ソフトやブラウザで申告書を作成することが一般的となり、「A」と「B」を分けることがかえって面倒になりました。一本化は良い決断だと思います。

他には、還付金の受取場所について、「公金受取口座」の欄が新設されています。

これについて、確定申告書の手引きを引用(青太字)しながら、少し解説します。

「公金受取口座登録の同意」欄

公金受取口座を登録されていない方で、かつ、この申告書に記載した還付金の受取口座を公金受取口座にしたい方は、「〇」を付けます。

では、既に登録している方が、登録口座と違う口座に還付金を振り込んでもらいたい場合で、「〇」を付けたら公金受取口座が変更されるのでしょうか。

この答えはデジタル庁のホームページのよくある質問の中にありました。

Q3-15 既に公金受取口座を登録しているのですが、今回の確定申告にて登録申請を行った場合は、どのような結果になりますか。

口座情報に間違いが無ければ、後から申請されたものに変更となります。

※既に登録済みの口座情報と、後から申請された口座情報が同一の場合は、後から申請されたものは却下されます。また、外字使用や住所の表記揺れによって、同一と判断されない場合がございます。

したがいまして、登録された口座を変更したくなく、かつ、それと違う口座に振り込んでもらいたい方は、「〇」を付けないようにしてください。

「公金受取口座の利用」欄

この欄は、「既に公金受取口座の登録がお済みの方に限ります。」との注意書きがあります。

公金受取口座に還付金を振り込んでもらいたい場合は、ここに「〇」を付ければ金融機関名や口座番号などを記入しなくてもよくなっています。

私は還付申告になりそうなので、利用したいと思います。ちょっとだけですが、便利になりました。

ただ、「どの口座を登録したっけ?」と思われて確認される方は、便利さを享受できません。

なお、「確定申告書に申告者ご本人のマイナンバー(個人番号)が正しく記載されていない場合や本人確認書類の不備等により本人確認ができない場合は、公金受取口座を登録・利用することはできません。」と書かれていますので、ご注意ください。

注意事項

「公金受取口座の登録と利用の手続を同時に行うことはできません。「公金受取口座登録の同意」と「公金受取口座の利用」の両方に「〇」を記入することのないよう、ご注意ください。」と書かれています。

両方「〇」を付けたらどうなるのでしょうか。国税庁ホームページの確定申告書作成コーナーや会計ソフトでは、両方に「〇」を付けられないように処理されているのではないかと思いますが、手書きだったら可能です。

税務署の方が何らかの処理(おそらくは確認の電話)をしなければならなくなると思います。

マイナポイント

マイナポイントについても、デジタル庁のホームページのよくある質問の中に回答がありました。

Q3-14 確定申告にて公金受取口座を申請した場合でもマイナポイントを受け取ることができますか。

マイナポイント第2弾(公金受取口座登録)は、マイナンバーカードの利用を前提とした制度です。

公金受取口座の登録手続きを行い、マイナポイントアプリ(又は「申込みサイト」)からマイナンバーカードを利用して申込みすると、マイナポイントが付与されます。※1

マイナポイントを希望する場合は、マイナポータル又はマイナンバーカード方式(e-Tax)による確定申告※2で公金受取口座の登録(申請)手続きを行ってください。

なお、確定申告で登録申請手続きを行った場合は、必ずマイナポータルから登録状況を確認をしてください。※3

※1 マイナンバーカードを令和5年2月末までに申し込みした方が対象です。マイナポイント、公金受取口座登録の申請期限については、後日発表しますがお早めにお申込みをお願いいたします。
※2 マイナンバーカード方式(e-Tax)以外の方法による確定申告で公金受取口座の登録申請手続きを行った場合も、申請期限までにマイナポータルから登録状況の確認又は再登録を行うことでマイナポイントが付与されます。
※3 公金受取口座として登録できる金融機関と確定申告で還付金を受け取ることができる金融機関が異なる場合があります。

【編集後記】

現在取り組んでいる仕事(私を含めて中小企業診断士3名で取り組んでおります。)で、早期経営改善計画策定支援事業(通称:ポスコロ)というものがあります。経営改善を求める事業者のお手伝いをする仕事です。あまり知られていないようで、税理士はもちろん中小企業診断士でも、この支援事業を行ったことがある方は少ないのではないでしょうか。ポスコロよりもハードな「405事業(経営改善計画策定支援事業)」というものもあります。

有料で請け負い、まとまった額の報酬をいただきますが、「経営改善」しなければならない事業者相手なので、作業量に見合ったほどはいただいておりません。それでもお金を出してでもやりたいという前向きな方が対象ですので、我々もやりがいはあります。また、支援も言いっぱなしではなく、伴走支援として、半年後や1年後に検証や再提案も行います。

なお、この事業は国の事業であり、申請が通れば、私たちへの報酬の3分の2(原則上限25万円)を国が補助してくれます。経営改善したいという方がいらっしゃいましたら、ぜひ、私どもにご相談(ご紹介)ください。

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