申告不要制度
所得税法第121条では、確定所得申告を要しない場合が定められています。
そのうちの一つが次のとおりです。
その条件は、①給与の支払いは1か所、②年末調整が済んでいる、③給与所得及び退職所得以外の所得金額が20万円以下の3つです。
この規定により、日本の大部分のサラリーマンは、給与以外の20万円以下の所得があっても確定申告が不要とされています。
ただ、気を付けていただきたいのがこの③です。この規定は、あくまでも「確定申告が不要」と言っているだけで、「20万円以下の所得を非課税」としたものではありません。
したがいまして、税金を納めたいと思われる方は、確定申告されて納税されても結構です。
医療費控除や住宅ローン控除
医療費控除や住宅ローン控除を受けるには、サラリーマンの方でも確定申告をしなければなりません(住宅ローン控除は1年目のみ)。
この場合、申告不要制度の条件に合致されている方の20万円以下の所得も、申告しなければなりません。
住宅ローン控除であれば、通常、減税のメリットの方が大きいでしょうけど、医療費控除の場合は減税額がそれほど大きくないことが多いので、損得を考えて、申告するかどうかをご判断ください。決して違法行為ではありませんので、念のため。
住民税
ちなみに、住民税には、この20万円以下の申告不要制度はありません。
したがって、20万円以下の所得は、所得税の申告をしない場合、住民税の申告が必要です(所得税の申告をすれば、税務署から市町村に申告内容の情報が行きますので、住民税の申告は不要です。)。
私個人としては、「所得税に合わせればいいのに。」と考えていますが、何か重大な理由があるのでしょう。
【編集後記】
現職時代、20万円以下の所得がある方の医療費控除の申告で、このことを説明するのに骨が折れたことがあることを思い出しました。
一方で、20万円以下の所得を申告されようとする真面目な方に、「所得税の申告はしなくても構いませんよ。」とお教えすると、感謝されておりました。
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