いくつかの卓球場を見て
卓球場というのは、それほど広い施設ではないところがたくさんあります。
卓球台が10台以下という卓球場が、全体の多くを占めていると予想しています。
そのような決して広くない施設のスペースの一角に、卓球用品を陳列して販売されているところをよく見かけます。
そして、それは、「(今の通信販売の時代に本当に必要なのだろうか?)」と、思うことがあります。
もちろん、メリットもたくさんあります。が、そのメリットは、デメリットを上回るものなのでしょうか。その検討は、されたことはあるのでしょうか。
卓球用品を置くメリット
私が考えるメリットは、以下のとおりですが、他にもあるかもしれません。
- 販売することで利益が生じる。
- じっさいに手に取ることで、お客様の選択ミスが減少する(特にサイズ違い)。
- お客様の急な注文に応えられる。
確かに、お客様側から見れば、有り難いサービスです。
[1.の検討] 本当に利益は上がっているのか
正しい利益の計算
事業年度の最終日(個人事業主でしたら12月31日)に棚卸し(在庫を調べること)をされておられますか。青色申告のみならず白色申告も含めて、必ずやらなければならない作業です。
棚卸しは、商品ごとの単価×数量です。すべての商品の在庫を調べて計算し、合計したものです。
(話が逸れますが)正確な利益を計算するためにも棚卸しは必要です
以下、売上高、仕入高、利益は、1年間の商品に対するものを言います。商品のみの利益を計算する基本的な算式は、
売上高 - 仕入高 = 利益
ではありません。正しくは、
売上高 - (期首商品棚卸高 + 仕入高 - 期末商品棚卸高) = 利益
です。期首商品棚卸高は、前年の期末商品棚卸高と同じ数字を入れます。
会計では、売れた商品の分の仕入のみ必要経費に入れることができますので、このような計算が必要なのです。その年に売れなかった在庫は、資産として帳簿に残されます。
適正在庫を知りましょう
在庫は、多すぎると資金繰りが悪くなります。現金が在庫に変わったため、すぐに使えるキャッシュが減るからです。だからと言って、少なすぎるとお客様への販売する機会を逸していまいます(機会損失と言います。)。また、お客様の要望に応えられないこともあり、サービスの低下につながります。
では、適正な在庫というのは、どのくらいなのでしょうか。これは、お店の状況により変わりますので、絶対これという数字はありません。
しかし、統計から分析して比較する方法はあります。
商品回転率という指標があります。これは、商品が回る、つまり、どんどん売れているかどうかの指標です。高ければ、高いほど良いです。
日本政策金融公庫が公表している業種別経営指標の中のスポーツ用品小売業の回転率を計算してみます。ここの指標には、商品回転率という項目はありませんが、商品回転期間の2.3から計算してはじきだせます。
12月 ÷ 2.3(商品回転期間) = 5.2回(商品回転率)
これは、黒字の会社の平均です。
計算上ですが、全商品が1年間で5.2回入れ替わっているという意味です。
では、皆さんの商品回転率を計算しましょう。ご自身の店舗の数字を当てはめてください。
商品回転率 = 売上高 ÷ 平均在庫高
平均在庫高は、( 期首商品棚卸高 + 期末商品棚卸高 ) ÷ 2 です。
これが、先ほどの平均5.2回より高ければ、まったく問題ないと考えます。そのまま販売を続けてください。逆に、平均に遠く及ばないのだとしたら、検討した方が良いかもしれません。
1坪当たりの売上高
また、前述の業種別経営指標には、店舗面積3.3㎡(1坪)当たり売上高というものもあります。こちらは、3,402,000円です。ご自身の店舗の商品の販売スペースを測って、比較してみてください。
スポーツ用品小売業は、年々売り上げが減少しており、ここ5年で1割程度減っています。これは、ネット通販に流れているからだと推察します。
世の中の流れを鑑みれば、この売上も、何か特別なことがない限り毎年減少していくことでしょう。
顕在化していない損失
在庫には、壊れて使えなくなったもの、長く置いていたために劣化したり陳腐化したり、流行遅れのものなど、売れる見込みがない物が入っていませんか。また、無くしたり盗まれたりしたものはありませんか(こちらは在庫には出て来ません)。
何年も売れていないのに、もったいないと考えて、ずっとそのまま並べていませんか。
その他の見えにくい経費
家賃を払っている方は、陳列棚のスペースは、商品販売の経費です。つまり、僅かに利益が出ていたとしても、面積に応じた家賃を引いてみないと本当の利益が見えてきません。
販売(注文する、仕入れる、並べる、売る)には、労力がかっています。この表面に現れにくい経費も、頭の中で計算に入れて考えなければなりません。
これら販売に関するすべての資金と労力とスペースを他の何かに向けたら、新たな収入を生むモノに変わりませんか。
[2.の検討] それほど多くサイズミスはあるのか
当センターでは、サイズが違った場合、交換に応じています。先方の指定であってもです。返品の発送料がかかりますが、これもサービスの一環と割り切っています。
販売量が少ないので、皆さんとは比較にならないかもしれませんが、過去2年間で、2回だけありました。
[3.の検討] それほど急に必要になる例があるのか
「今日、明日にも必要」という例も、それほど多くあるのでしょうか。当センターには、そのような注文はありませんでしたが、もしあれば、他の店やネットショップを紹介するでしょう。
それでも販売を続けるならば
どうしても販売したいのならば、品ぞろえは、可能な限り売れ筋商品に絞りましょう。売れているものと、売れていないものを見分けましょう。例えば、仕入れてから3か月経っても売れないものは、カタログ販売に切り替えましょう。ましてや、1年も2年も売れ残っている商品は、安売りしてでも処分しましょう。
極端な話、商品回転率が高い「ラバー専門店」も検討しましょう。
単価が高く、サイズ違いを揃えておく必要があるユニフォームやシューズも、なるべくカタログ販売に切り替えましょう。特にユニフォーム(上)は、流行遅れや、廃番になった場合のリスクが高い商品です。
在庫があると、安心感がありますが、それは罠です。誘惑に負けてはいけません。
常に在庫を管理し、商品回転率の適正化を図りましょう。
まとめ
- 正しい利益の計算をしてみる。
- 定期的に棚卸しをして、商品回転率を計算する。
- 1坪当たりの売上高を計算する。
- 売れ残りは、損してでも(仕入れ値より下げても)売り切る。
- 販売を続けるならば、これらのことを十分に検討してからにする。
【編集後記】
当センターは、最初からカタログによる注文販売です。もともと、それほどの売上があるとは考えにくいと思っていましたし、在庫のリスクを抱えたくありませんでした。
そのため、仕入先は、ロット(最低販売数)で買わなくてもよいところ(全商品とも1個から卸してくださる卸売業者)を選びました。
送料がかかるので、商品販売利益はほとんどありませんが、お客様へのサービスと考えて割り切っています。
〈昨日の健康〉
早朝ランニング 4.33km(26:22)
[昨日の感謝]
久しぶりに久留米市卓球協会主催による大会がありました。ウチの小学生4人も出場しました。スタッフの皆さんは、コロナ対応で相当大変だったようです。対外試合をする機会を作ってくださってありがとうございました。(感謝!)
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