国税庁の任務
国税庁の任務は、財務省設置法第19条において、「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現」、「酒類業の健全な発達」及び「税理士業務の適正な運営の確保」を図ることとされています。
そして、「税理士業務の適正な運営の確保」を図るために、国税庁(国税局及び税務署を含む。)は、税理士及び税理士法人に対する指導監督を行います。その一つが、「税理士法違反行為の未然防止と違反者への厳正な対処」です。
懲戒処分等の状況
国税庁ホームページによると、税理士等に対する懲戒処分等件数は、次のとおりです。
年度 | H28 | H29 | H30 | R元 | R2 |
件数 | 39 | 38 | 51 | 43 | 22 |
処分された税理士の氏名や内容は、国税庁ホームページに公開されています。
処分内容を眺めていると、感覚として多いのは、名義貸しと事実に反する申告書の作成です。
名義貸しとは、税理士ではない者が申告書等を作成し、税理士が何ら確認せずに署名押印する行為です。皆さまが申告書作成を依頼している相手は、本当に税理士でしょうか? 税理士本人にお会いしましたか? 事務所を訪問されましたか? また、税理士でしたら、通常、契約書を交わします。
事実に反する申告書とは、脱税を目的とした申告書の作成です。クライアントの不正に気付きながら、又は、クライアントから依頼されて事実に反する申告書を作成すれば、当然、税理士は罰せられます。
いずれにしても、今後、税理士としてやっていけなくなる行為です。しかし、目先の利益のために不正に手を染める税理士が後を絶ちません。
にせ税理士
税理士の資格を持たずに顧客の要請に応じる「にせ税理士」には、元税理士事務所事務員、元商工会議所(商工会)事務員、何らかの理由で税理士登録できない者などがいます。巷には、たくさんいるようで、毎年、何人も逮捕されています。いろいろな人と話していると、周辺にも怪しそうな人がいます。
にせ者ですから、料金は安いです。当然ですが、彼らは、何か問題があっても責任を取ってくれません。「安物買いの銭失い」とならないようにしてください。
先日、私のところに相談に来られた方は、今年の申告まで「税理士事務所の事務員」と名乗る方に決算と申告を依頼されたそうですが、税理士本人には会ったことがないそうです。決算書には福岡市内の税理士の名前が書かれていました。業務を受けるのに税理士本人が出てこないことがあるのでしょうか。「もしかしたら、名義貸しかも?」と疑いましたが真相は不明です。
関与先名簿と使用人概況書
令和3年4月22日付けで、八女税務署長から「関与先名簿等の提出について」の依頼文書が届きました。法律で定められた制度ではありませんが、税務署は毎年、これらの書類の提出を税理士に依頼しています。記載要領には、「前年4月1日から本年3月31日までの1年間に関与した全ての納税者について作成してください。」とあります。
関与先名簿には、件数、住所・氏名、関与開始年月日、関与の度合いなどを記載します。私は、記帳や申告に関与した4件を記載しました。
もう一つの書類は、使用人概況書です。私はソロ税理士であり、人を雇っておりませんので、斜線を引きました。
提出期限は、令和3年6月4日です。3月決算法人(5月31日申告期限)の申告書の事務(所得税の確定申告時期と並ぶ、税理士事務所の最繁忙期です。)を考慮した期限でしょう。
e-Tax(電子申告)
作成した申告書はすべてe-Taxで提出しています。ほとんどの税理士がそうだと思います。そしてそこには、税理士である私の情報も含まれます。
関与先名簿は、このシステムを上手く使えば、国税庁側で作成できるのではないかと考えますが、いまだにアナログ(紙)の提出です。
関与先名簿等も自動収集又はデジタルでの提出に変換していただきたいものです。
【編集後記】
今日の夕方は、新しい顧客のところに訪問します。メールで質問された内容の確認と、今後の支援について話し合いたいと思います。
今は結構雨が降っています。九州南部は梅雨入りしたとのこと。田植えに向けて、恵みの雨です。
ここ筑後地方の今後10日間の予報もほとんど雨ですが、九州北部の梅雨入りも間近なのかもしれません。今は通勤しないので、雨もそれほど苦にならなくなりました。
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