インボイス制度
一般の方があまりご存じなく、一方で税理士がとても心配しているのが、このインボイス制度です。令和5年10月1日に導入されることが決まっています。
正式名称は、「適格請求書等保存方式」と言います。ちなみに、現在は、昨年10月に消費税増税と軽減税率の導入時以降行われている「区分記載請求書等保存方式」です。どっちがどっちか分かりにくいですね…。こんな制度ですみません。
インボイス制度は、消費税に複数税率を導入している国の多くで採用されている請求書の形式です。
なお、インボイス【invoice】とは、請求書という意味です。
税務署職員時代に研修は受けておりましたが、改めて先月、このインボイス制度の研修を受講いたしました。(税理士は年間48時間の研修受講が義務付けられています。)
消費税申告の仕組み
インボイス制度について語る前に、消費税申告の仕組みを知っていただく必要があります。
下図は、国税庁ホームページに掲載されている図です。
製造業者、卸売業者及び小売業者が申告・納税を行います。それぞれが、売上に含まれる(預かっている)消費税から仕入や経費などに含まれる(支払った)消費税を引いた残りを納税していただくという制度です。

今までは単一税率でしたので簡単だったのですが、軽減税率が導入されたことにより、この品物(サービス)の消費税は10%ですよ、又は8%ですよと請求書に書いていただかないと混乱します。
普段、帳簿を付けておられる方はお分かりでしょうけど、請求書や領収証でいちいち税率を確認して入力せねばならず、今でもとても面倒です。
免税事業者
現行の消費税法では、一定規模(売上1,000万円)以下の事業者は、申告・納税義務が合法的に免れることができます。
つまり、預かった消費税の方が支払った消費税より多かった場合でも、それを国庫に入れる必要がないのです。なお、この差額を「益税」と呼びます。
現行制度で課税事業者は、この免税事業者に支払った仕入や経費に含まれる消費税相当分(一部は国庫に入っていない分)も申告の際に引くことができます。
導入されて変わること
請求書の記載事項
現行の請求書は、以下の5項目の記載が義務付けられています。
- ① 請求書発行者の指名及び名称
- ② 取引年月日
- ③ 取引内容 (軽減税率の対象品目である旨)
- ④ 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
- ⑤ 請求書受領者の氏名又は名称(※)
- (※)不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業等に係る取引については、記載を省略できます。
新制度では、次の項目が加わります。
- ①については、請求書発行者の「登録番号」(後述します)が追加されます。
- ④については、「適用税率」が追加されます。
- 新規に、「税率ごとに区分した消費税額等」が追加されます。
レシートをよく見ると、既に8%と10%の消費税額が記載されていることもあります。令和元年と令和5年の2回、レジの変更をしなくても良いように、昨年の段階で令和5年を見据えた変更をされているところが多かったと推測しています。
請求書の交付義務
取引の相手方(課税事業者)から求められた場合は、この適格請求書を交付する義務が発生します。というのは、取引の相手方は、この適格請求書がないと前述の申告の際に、支払った消費税と認められなくなるからです(結果的に納税額が増えてしまう)。
登録番号の取得
請求書に記載すべき登録番号は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署長に提出し、審査を受ける必要があります。そして登録された場合は、登録番号の通知及び公表(インターネットを通じて確認可能)が行われます。
この登録申請は、来年、令和3年10月1日から提出が可能です。
課税事業者への選択
売上が1,000万円以下の小規模事業者は、取引先から、自分のところの消費税の納税を減らすために「課税事業者になってほしい」と要求される場合があります。また、課税事業者のみを選んで取引するということもあるでしょう。
そこで免税事業者は、売上が1,000万円以下であっても、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者を選択することができます。その上で、登録申請をすれば登録することが可能です。
ということは、売上が1,000万円以下であって消費税の申告・納税が免除されていた事業者も消費税を納付(場合によっては還付)しなければなりません。
お問い合わせ
専用ダイヤルが用意されています。
0120-205-553(無料) 【受付時間】9:00~17:00(土日祝除く)
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まとめ
令和3年10月1日から登録申請が、令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。
まだ3年近くありますが、課税事業者はインボイス(請求書)の様式を変更する計画を立てること、免税事業者は課税事業者を選択した方が良いのか考えておかれることをお勧めいたします。
【編集後記】
軽減税率の導入、そしてインボイス制度の採用。日本の消費税も1989年の導入当初から随分変わってまいりました。
今では、消費税は、所得税及び法人税を抜いて日本で第1位の基幹税となりました。
今回のコロナ禍のように景気が悪くなる場合、所得税及び法人税は大幅に落ち込むことが予想されています。しかし、消費税は、景気への影響が比較的少ないと言われており、国及び地方公共団体としては、安定した税として今後ますます重要になってくるでしょう。
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