家内労働者等(内職や外交員など)の事業所得等の所得計算の特例 #99

税金や会計のヒント

特例の概要

事業所得又は雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算しますが、家内労働者等に該当される方の場合は、実際にかかった必要経費は無視して、55万円まで認められます。

つまり、必要経費が55万円以上であればそのままその額を算入すればいいし、55万円未満でしたら有利な55万円を必要経費にしても構いません。自身の選択で有利な方を選ばれて差し支えありません。ただし、重複適用はできませんので、念のため。

家内労働者等とは

家内労働者等の中には、家内労働者とその他の2つがあります。

家内労働者とは、家内労働法(という法律があります)に規定されています。弱い立場の方の保護を目指している法律です。イメージは、「内職」ですね。

家内労働者とは、通常、自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人をいいます。[出典:厚生労働省ホームページ]

その他には、「外交員、集金人、電力量計の検針人その他特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者」が該当します。[出典:「所得税の確定申告の手引」清文社]

また、ここで言う「特定の者」には、シルバー人材センターも含まれます。

税理士と顧問契約を結ぶ方は、ある程度の収入がある方でしょう。そのため、このような家内労働者等の方々とはあまり接点がない税理士の方は、もしかしたらご存じないかもしれませんね。

導入の経緯

この特例は、例えばパートで90万円の収入がある場合、無条件に給与所得の必要経費に相当する給与所得控除が55万円認められています。しかし、実際に55万円も必要経費がかかるとは到底思われません。せいぜい、数万円程度でしょう。

しかし、これが家内労働になると事業所得又は雑所得となります。これらの所得には、給与所得控除に相当するものはなく、実額で必要経費を算定します。しかし、家内労働者もパート同様、必要経費は僅かしかかからない場合がほとんどです。

本人(家内労働者)にとっては、パート似たようなことをしている感覚ですが、必要経費の扱いに差があるということで問題となり、その後導入された制度です。

他の所得がある場合

この特例の適用を受けるとき、同年に他の所得がある場合は、特例金額が変わることがありますのでご注意ください。

例えば、事業所得と雑所得がある場合、それぞれ55万円ではなく、合計で55万円までしか認められません。

また、給与所得がある方は、給与収入が55万円未満の場合のみ、適用されます。

詳しくは、税務署や税理士にお尋ねください。

【編集後記】

以前ブログで書いたことが、また起きました。

ご夫婦で申告相談にお見えになられましたが、医療費の合計が102,000円でした。税率が10%の方でしたので、「所得税が200円、住民税が200円安くなります。」とお伝えしたら、「面倒なので申告しない。」とのことでした。

周りから「医療費が10万円超えたら税金が戻るぞ!」と煽られて期待してお見えになったご夫婦です。周りの方々も悪気はないのでしょうけど、罪作りです。私も気の毒で、「すみませんねぇ。」と言ってしまいました。

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