特別定額給付金(10万円)や持続化給付金(個人最高100万円、法人最高200万円)は課税されるのか

税金や会計のヒント
くまぞう
くまぞう

たこいちは、新型コロナウイルス対策のための特別定額給付金(全国民に一律10万円)って、もらった?

たこいち
たこいち

我が家は全員マイナンバーカードを持っていたし、カードリーダーも家にあったのですぐに申請したよ。家族3人とも1週間程度でお金が振り込まれて、そのスピードにびっくりしました!

くまぞう
くまぞう

それは良かったね。で、持続化給付金(個人事業主最大100万円、法人最大200万円)の方は?

たこいち
たこいち

あのころはまだ公務員(サラリーマン)だったので、そもそも対象にはならなかったね。ただ、卓球センターを経営していた家族は、2か月間店を閉めたことから、持続化給付金の支給対象者になったよ。おかげで助かった。自粛に協力するためとは言え、丸々2か月収入が途絶えたからね。こちらも、オンラインで申請したら3日くらいでお金が振り込まれたよ。

くまぞう
くまぞう

ふ~ん。ところで、その特別定額給付金と持続化給付金、これって、もらったら税金がかかるの?

たこいち
たこいち

結論から言うと、「税金はかからない」又は「(結果として)実質かからない」のいずれかですよ。

所得税法の考え方

まず、所得税法の大前提として、理解していただきたいことがあります。所得税法では、所得の生じる原因を限定しない内容で所得を捉えます。つまり、汗水流して働いて得たものでも、親からの小遣いでも、人様から盗んだものでも、いかなる名義のお金でも、所得とするのが原則です。

その上で、「これとこれには課税しませんよ」という非課税措置が設けられており、その分には課税されません。逆に言えば、自分のものになったお金は、非課税に該当しない限りすべて課税されるということをご理解ください。

課税されるものを列挙した場合、新しいものが出てきたり、解釈によって違いが出てきたりすると大変ですからね。そのため、まずは、「全部対象ですよ」としておいて、課税しないものを示しています。つまり、足していくのではなく、引いていくという感じです。

では、非課税所得は、どの法律に書かれているのかと言いますと、まずは、所得税法にあります。所得税法第9条には、1から18まで列挙されています。この他に、特別法と言われるその他の法律の中に、「この所得には所得税を課さない」と規定されている場合があります。例えば、宝くじの当選金や生活保護費は、所得税法ではない別の法律に非課税とされています。

ところで、借金ですが、借りたお金はいつか返さなくてはいけませんので、自分のものになった訳ではないという考え方から、受け取った時点で所得にはなりませんし、返したお金も経費になりません。

本題に入ります。

特別定額給付金に税金はかかるのか

今般、新型コロナの影響で、国や地方公共団体は、補助金、給付金、助成金など様々な名目で、返さなくてもよいお金を国民に給付しています。

では、これらのお金には税金がかかるのでしょうか。先ほどの話からすれば、まずは、原則課税と考え、非課税の規定を探します。

国民全員に給付される特別定額給付金10万円ですが、これは、令和2年4月30日にできた法律で支給されました。そして、この法律の第4条には、この給付金を非課税と定めています。また、同様に、新型コロナの影響による児童手当の支給も非課税としています。したがいまして、これらの給付金及び手当は、所得として確定申告(納税)する必要はありません。

持続化給付金に税金はかかるのか

次に、最高100万円(法人は200万円)の持続化給付金はどうでしょうか。また、自粛要請協力金や家賃補助はどうでしょうか。

こちらには非課税措置はありません。雇用調整助成金も同様です。

従来からある補助金は、使った分だけ請求し、その額を後から受け取りますので、言わばもらったお金に色が付いておりました。

しかし、今回の持続化給付金は、緊急を要するということで、「どのような経費に使ってもよい」と、お金に色が付いておりません。←ただし、生活費の補てんではありませんので、念のため。

これらの給付金や助成金は、「事業者」に支給されるもので、家賃、人件費、その他の経費の補てんのためのものです。つまり、そのお金は、何らか別の形で必要経費として支出されることになります。そのため、例えば100万円の給付については、収入(法人は益金)100万円-経費(法人は損金)100万円=0円となるので、実質的には課税されないことになります。

なお、帳簿には、持続化給付金は、雑収入として計上してください(消費税は不課税)。

「経費が100万未満なら課税されるではないか。」と言われそうです。そうです。その場合は、課税されます。残額分は儲かったことになりますから。それでも、事業者は税金を払ったとしても、いくらか手元に残るので、損をしている訳では決してありません。全国民の税金の中からいただいたお金です。もらっていない方との公平を考えても、私は、残額に課税されるのは当然だと考えています。

ただし、持続化給付金の性質上、100万円受給できた方の経費が年間100万円未満というのは、現実的には考えにくく、極めて希なケースでしょう。

ネットの中には、「困っている人が受け取っている持続化給付金に課税するのはけしからん。」という意見が散見しています。私のように考えていただければ、その怒りも収まり、ストレスを解消できるのではないでしょうか。

まとめ

(おおざっぱに言えば)生活費のために「生活者」に支給されるものには非課税措置があり課税されませんし、事業を継続するためや、人件費や家賃など必要経費の補てんとするものや、自粛要請に応じて「事業者」に支給されるものは課税対象ですが、実質的に課税されません。

※今日の話は、あくまでも一般的なものですので、「考え方としてはこうだ」としてご理解ください。現在、様々な名目で金品が支給されています。課税か非課税かはそれぞれの内容によりますので、詳しくは専門家にお尋ねください。

ただ、私たち税理士に聞く(相談する)と一般的にお金がかかります。国税庁ホームページでご自分で調べられるか、税務署へ電話される(電話相談センターに繋がりベテランの方々が親切丁寧に教えてくれます)ことをお勧めいたします。

[補足]

上記には、「親からの小遣いは所得(収入)となる」と書きました。こらは考え方の基本の話であり、所得税法9条に「個人からの贈与により取得するものは(所得税は)非課税」と規定されていますので、所得税は課税されませんので、申し添えます。

この場合、「贈与税が課税されるのでは?」と疑問が湧いてこられた鋭い方もいらっしゃるかもしれません。そうです。この条文は、所得税と贈与税が二重に課税されないための措置で、「贈与税を課すので所得税を課さない」というためのものです。

では、贈与税がかかるのかというと、こちらは、相続税法(贈与税は相続税法の一部です)に「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるものには贈与税を課さない」との条文がありますので、課税されません。

めでたし、めでたし。

【編集後記】

今日から1週間は、税理士や中小企業診断士の資格とは関係がない、スポットで請け負った「農業」に関する仕事を行います。私が保有する「農業経営アドバイザー」という資格を評価していただいたものです。ちなみに、農作業ではなく、インターネットを使ってオンラインで行うものですので、事務所内で作業します。

〈昨日の健康〉

早朝ランニング 6.27km(41:10)

休肝日として、禁酒いたしました(2日連続)。

[昨日の感謝]

何人もの方から連絡がありました。おととい郵送した、退職と開業のお知らせを合わせた挨拶状が届いたようです。わざわざ行動していただくと、とても嬉しいものです。(感謝!) 私も挨拶状をいただくことがありますが、このようにきちんと返事をしておりませんでした。送ってくださった方、申し訳ありません。(反省!)

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