中小企業庁が厳正に対処するとした事業再構築補助金における重複案件について #190

経営のヒント

不正案件

2か月前、事業再構築補助金事務局ホームページに、次のようなことが発表されていました。

第1回公募で採択を発表した案件の中に、重複案件と思われる事業が発見されましたので現在調査中です。不正が判明次第、厳正に対応いたします。公募要領4.(7)⑩にありますように、他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業については、厳正に対応いたしますので、十分ご注意ください。

公募要領4.(7)⑩

確かに、公募要領(注:第1回公募時の要領であり現在は少し違います。)には、次のように記されています。

  • 4.補助対象事業の要件
  • (7)その他
  • (中略)
  • ・以下に該当する事業計画である場合には、不採択又は交付取消となります。
  • ⑩重複案件
  • (中略)
  • ・他の法人・事業者と同一又は類似内容の事業
  • ※他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意ください。

どうやって見つけたのか

事務局は、どのようにして2万件以上の第1回公募の中から重複案件を見つけ出したのか、とても興味があります。

ネットではいくつかの業種が噂になっています。これらは、採択された事業計画名と事業計画の内容が酷似しています。部外者のどなたかが上手くマッチングさせて事務局に告発されたのかもしれません。「採択を発表した案件の中に」不正があったということは、事務局の審査はすり抜けていたようですから。だとしたら、「グッジョブ!」です。

1例でも見つけたら、その申請の支援をした認定経営革新等支援機関の事案がすべて調査され、芋づる式に不正が見つかったかもしれません。

2か月前の記事からは更新がされておらず、また、新しい情報も掲載されていませんので、どういった結果になったのかは、現在のところ不明です。

ペナルティ

「不採択又は交付取消」とありますので、いったん採択とされたけれど、その採択が取り消されることでしょう。最初の公表の採択データと最新の採択データを突き合せれば、どの事業者が取り消されたのかは、判明します。信用も落ちることでしょう。

また、「次回以降の公募の申請ができなくなる」とありますので、これらの事業者は、今後を含めて事業再構築補助金を諦めるしかありません。

さらに、申請のサポートを請け負った事業者(認定経営革新等支援機関と想像しています。)は、報酬の返還を求められるでしょう。

事業計画の検討に際しての外部支援

重複案件といっしょに記載されている内容です。

事業計画の検討に際して外部の支援を受ける場合には、提供するサービスの内容とかい離した高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください。申請した事業者の支援者のうち、約2/3が報酬なしでの支援を行っています。また、第1回公募の認定経営革新等支援機関の報酬の状況の詳細についてはこちらをご覧ください。なお、高額な成功報酬等を請求している疑いがある場合には、個別に申請支援の実態に関する調査を行うことがあります。

「約2/3が報酬なしでの支援を行っています」とあり、事務局は、いかにも多くの認定支援機関がボランティアでやっているかの如く書いています。しかし私は、逆に、無報酬のところは、単に名前だけ貸(出)している認定支援機関が多いのではないかと推察しています。もちろん、十分に支援してなお無報酬という立派な機関もいらっしゃるでしょうけど、これほどの作業を無報酬というのは、私だったら受けることはできません。

もしも名前だけであれば、「事業計画は、認定経営革新等支援機関とご相談の上策定してください。」(公募要領)という趣旨から外れています。要件を満たしていない申請が多かったことを含めて、認定経営革新等支援機関への指導も厳正に行う必要があるのかもしれません。

【編集後記】

現在、農業事業者向けのインボイス制度の周知方法を検討しています。卸売市場や農協(共販)を通じての販売には特例措置があるので、そこをどうやって伝えていくか。今は机上で考えていますが、実務的にどうなるのか、今後も情報収集と勉強を続けていきます。

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