第1回公募の採択結果
緊急事態宣言特別枠で、申請5,181者、うち要件を満たした申請4,326者、採択2,866者でした。
一方、通常枠・卒業枠・グローバルV自回復枠は、申請17,050者、うち要件を満たした申請14,913者、採択5,150者でした。
申請 | 要件満たす | % | 要件満たさず | % | 採択 | % | |
緊急事態宣言特別枠 | 5,181 | 4,326 | 83.5 | 855 | 16.5 | 2,866 | 55.3 |
通常枠・卒業枠・グローバルV自回復枠 | 17,050 | 14,913 | 87.5 | 2,137 | 12.5 | 5,150 | 30.2 |
(合計) | 22,231 | 19,239 | 86.5 | 2,992 | 13.5 | 8,016 | 36.1 |
申請要件を満たさず
この数字(採択率)を見て、多くの方々が「厳しい採択結果だった。」と評されています。ただ、5回予定されている公募です。今回の採択での予算使用率が約20%でしたので、予算面から見たら無難な数とも言えます。
多くの中小企業診断士の皆さんは、採択率に注目されており、その評価についていろいろと書かれていますので、私の方では省略します。
私が気になったのは、そもそも申請要件を満たしていないものが2,992件、率で13.5%もあったことです。今回の事業再構築補助金の補助対象条件には、「経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。」(「等」は金融機関を指します。)とされています。
補助金申請や事業計画書策定に不慣れな中小企業や個人事業主が単独でされたのなら仕方がありませんが、認定経営革新等支援機関を名乗る専門家が付いていてこれでは、依頼主の落胆はさぞ大きいことでしょう。まさか、報酬をいただいていないでしょうね?(笑)
共同で策定してこれであればその支援機関のレベルが知れるし、共同で作成せずに印を押したのであれば血税を充てる補助金の趣旨を裏切る行為です。また、認定経営革新等支援機関の存在意義が低くなりそうで、認定支援機関となるためにお金と時間と労力をかけた私としては、とても残念です。ただし、もし、何か特別な理由があった機関であれば、謝罪いたします。
2018年から経済産業省は、経営革新等支援機関の認定期間に5年の有効期間を設け、期間満了時に改めて業務遂行能力を確認しています。最近は、この更新のための審査を厳しくしていると聞いていますが、納得できます。ただし、税理士には甘いという噂も…。
【編集後記】
「天は自ら助くる者を助く」。
最初の緊急事態宣言から1年以上、具体的な行動をせずに「困った。困った。」「コロナのせいだ。」「政府は無能だ。」などと言っている方がいる一方で、この危機(ピンチ)を好機(チャンス)と捉える方、時代が変わった(変わる)と気付き新しい業態に挑戦する方がいらっしゃいます。後者には、この事業再構築補助金を含めてあちらこちらから手が差し伸べられています。
事業を経営するということは、コロナに限らず、いろいろな危機が襲ってきます。その都度、自分ではない何かのせいにしたら、精神的には一時的に楽になるかもしれませんが、問題の解決にはなりません。
テレビでコメンテーターや知識人と呼ばれる人たちの中には、「こんなに中小企業が困っているのに、政府は何もしない! 手を差し伸べろ!」と発言される方がたくさんいらっしゃいます。彼らは、この事業再構築補助金のことをご存じなのでしょうか。さらに言えば、政府及び地方公共団体が採ってきた様々な施策を全部勉強した上での発言なのでしょうか。私には、到底そうとは思えません。
確かに、真に困っている方がいらっしゃるのは事実です。しかし、「一部」の方の実情を持って「全体」のように不安を煽り立てる行為は、いかがなものかと考えます。
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