講演
私は、税務職員時代に講演を頼まれる機会がありました。ネタを2つ持っており、一つは「寄附」の話、そして二つ目は「相続」の話です。受講者の顔ぶれから、いずれかのネタを選択して喋っておりました。
「相続」の講演の際には、なぜ遺言書が必要なのかを切々と説明しましたが、受講者の中で何人の方が筆を執ってくださったのかは不明です。1人でも多くの方がこの制度を利用されたことを願っています。
遺言への認識
私は職業柄、遺言書の必要性を強く認識しています。一方、一般の方々にはそれほど普及していないようです。
数年前の調査では、最も普及している75歳以上の世代でもわずか11.4%しかありません。
相続で揉めた例をたくさん聞くのに、なぜ、皆さん遺言書を書かないのでしょうか。
- うちには大した財産はありませんから…。←大した財産がないから揉めるのです。
- うちは長生きの家系ですから…。←長生きできても死ななかった人はいません。
- うちはきょうだい皆仲がいいですから…。←その仲を壊すかもしれません。
- 遺言なんて遺書みたいで縁起悪いよ…。←生を見つめ直すのが遺言です。
財産が少ない方ほど必要
相続争いは、お金持ちの話のように思われている方が多いです。テレビドラマなどの影響でしょうか。
しかし、よく考えてみると、お金持ちは財産がたくさんあるので、分け方に少々不満があったとしても、分けられるだけの財産があります。一方、我が家のように財産が少ないところは、分ける物が少ないのです。さらに、相続人が何人もいる場合で、遺された財産が自宅と僅かな貯金だけでしたら、分けようがない場合が多いです。そうなると揉める可能性が高くなります。
遺言書を書いて
以前から、「早く書かねば!」と思いつつも先送りしていた遺言書ですが、退職を機にいろいろと整理しながら、先日やっと書き終えました。私が書く理由は、前述の4つの「書かない理由」と並べてみると、次のとおりです。
- うちには大した財産はありませんから…。←ないからこそ、僅かな財産で揉めないように書きました!
- うちは長生きの家系ですから…。←同世代や自分より年下の方が次々に亡くなっています!
- うちはきょうだい皆仲がいいですから…。←私のこども3人は仲が良いのは親孝行です。それを永遠に続けてもらいたいのです!
- 遺言なんて遺書みたいで縁起悪いよ…。←遺言を書くことと死が訪れることに、因果関係は一切ありません。私は、迷信は信じないタイプです!
遺言書は、(財産目録を除き)手書きしなければなりません。Wordで原稿を打ち、それを手書きで写します。
現時点での私の相続人は、妻と3人の子どもたちです。遺言書を書いていると、結婚したとき、子どもたちが誕生したとき、そして今まで家族が過ごして時間が思い出されます。
少し感傷的になりながらしたためました。
更には、死を考えることで、自動的に生を考えます。今後、どう生きていくかを見つめることができます。
皆さん、遺言書を書いて、悔いのない人生を送りましょう!
遺言書の保管場所
令和2年7月から、公務局において自筆証書遺言書を保管する制度が始まりました。
自筆証書遺言に係る遺言書は自宅で保管されることが多いのですが、この場合、①遺言書が紛失・亡失する、②相続人により遺言書の廃棄,隠匿,改ざんが行われる、③これらの問題により相続をめぐる紛争が生じる、おそれがあります。
そこで、遺言書の紛失や隠匿等の防止や遺言書の存在の把握が容易になるよう、公的機関(法務局)で遺言書を保管する制度が創設されました。これにより、次のような効果が期待できます。
- プライバシーを確保できる
- 相続登記の促進につなげることが可能
- 遺言者の最終意思の実現
- 相続手続の円滑化
私も、ここ(法務局)に預ける予定です。
【編集後記】
法人設立後、さっそく2件、税理士事務所から営業の書類が届きました! 「割引」を前面に出されています。
他にも営業が来そうなので、法人設立をお考えの方々の参考になるよう、後日、まとめて公表したいと思います。
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