納税猶予の特例
昨年2月以降、一定の条件の下に申請すれば、特例により納税が猶予されてきました。
昨年4月以降、猶予申請の決裁が上がってくる度に、「今はいいけど、この会社(事業主)は、来年の今頃は2年分の税金を納めなくてはならないけど、本当に大丈夫なのか?」と心配しながら印鑑を押しておりました。
当然のことですが、これは「猶予」であり「免除」ではありません。
報道によると、その件数と金額は、国税25万件1兆576億円、地方税23万件2,982億円です。
国税の滞納残高は、徴収職員の地道な努力(ずっと間近に見てきました)により減少し続け、平成元年度には、ピーク時(平成10年度、2兆8,149億円)の26.8%(7,554億円)になりました(国税庁ホームページより)。ここまで、20年かかった計算です。
滞納されている方の中には、単年分だけではなく数年分滞っておられる方もいらっしゃるでしょう。その合計です。これを、たった1年の猶予額が超えています。
そして、その申請期間が終了しました。
なお、厚生年金保険料や健康保険料についても、同様に納付が猶予されてきましたので、こちらも凄い金額の猶予が出たことでしょう(金額は不明)。
今後の資金繰り
さらに、会社や個人事業主は、無利子・無担保の融資も受けられていたところが多いのではないでしょうか。当然、こちらの返済も始まります。
「この際」とバンバン借り入れていたところがあるという話はよく聞いておりました。「資金に余裕があってもキャッシュを手元に置いておく」という経営判断は正解だと思いますし、私も勧めてまいりました。
ただ、運よくこの資金に手を付けずに済んだ会社や個人事業主は問題ありませんが、運転資金に使ってしまったところは、こちらの返済もスタートします。
まとめ
そろそろ、税金や社会保険料の納付及び融資や返済が始まります。そうなれば、ますます今後の資金繰りが重要になってきます。
所得税や法人税は赤字の場合は税金は発生しませんが、消費税は、消費者などから預かっていた性格のものですので、赤字の場合でも発生します。
税理士や中小企業診断士などの専門家や金融機関を交えて、数年先までの資金繰りを検討されておいてください。
【編集後記】
この話題、あまりマスコミでは取り上げられていないような気がします。
資金ショートする会社や個人事業主が、一斉に出てこないことを祈っています。
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