医療費控除 「いつ」「誰が」「誰のために」払った分が対象か #76

税金や会計のヒント

所得税法第73条

第七十三条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、の年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。

ご覧のとおり、この条文には、「その年中に支払った」とありますので、例えば、令和2年12月下旬に病院で治療を受けた診療代を年明けの令和3年1月に支払った場合、令和3年分の医療費控除の対象となります。

ところで、お医者さん側からみたら治療代は事業の収入になりますので、治療をした日の属する年(この場合は令和2年)が収入の計上時期となります。

クレジットで支払った場合

クレジットは、治療を受けた人が支払うべき治療費をクレジット会社が立替払いをしたと考えます。治療を受けた人は、後日、それを返済しているだけです。翌月、または翌々月に銀行口座からクレジット会社に引き落とされますが、これは医療費を支払ったのではなく、クレジット会社への借金を支払ったのです。

そのため、クレジットカードで医療費を支払った場合は、その日が属する年の医療費控除に含めて結構です。

年の途中で扶養から外れた家族の医療費

73-1 法第73条第1項に規定する「自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費」とは、医療費を支出すべき事由が生じた時又は現実に医療費を支払った時の現況において居住者と生計を一にし、かつ、親族である者に係る医療費をいう。

これは、国税庁の法令解釈通達です。

例えば、結婚や就職で年の途中で生計が別になった場合でも、支払った時点で生計が一になっていれば、医療費控除の対象となります。

ちなみに、医療費控除は、前述の条文を読んでみると、扶養(控除対象配偶者)を条件としておりません。生計を一にしている親族であれば結構です。また、治療を受けた人ではなく、実際にお金を支払った(負担した)人の控除となりますので、申し添えます。

さらに言えば、「親族」となっていますので、親族以外の方の分の医療費を支払っても、医療費控除の対象とはなりません。

ペットの治療費も、ペットは民法で言う「親族」ではありません。「家族だ!」とおっしゃるかもしれませんが、「家族」であっても「親族」ではありませんので、お気の毒ですが対象外です。

まとめ

  • 医療費控除は、「その年中に支払った」分が対象です。
  • クレジットで支払った場合は、その日が属する年の医療費控除に含めます。
  • 支払った時点で生計が一の親族であれば対象になります。

【編集後記】

私は、年齢の割には健康ですので、あまり医療費がかかりません。私は、医療費控除を受けて税金が減るよりも、医療費が掛からない生活になる方が幸せと考えています。

皆様も、医療費控除が受けられない(医療費を支払わない)
ようになるよう、健康にはくれぐれもご注意ください。

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