筑後市創業者支援補助金
創業に対する補助金や融資制度はいろいろありますが、私が住む筑後市には、「筑後市創業者支援補助金」があります。
現行制度は、平成28年5月26日に「筑後市創業者支援補助金交付要綱」が告示されています。
筑後市内で創業又は新規事業展開される方は、検討されることをお勧めいたします。
なお、今年度は、補助対象経費の3分の2又は2分の1(いずれも上限50万円)が補助されます。
通常、補助金というものは、申請すれば「はいどうぞ。」と頂ける訳ではありません。新型コロナで影響を受けた事業者への持続化給付金のように、誰でも詐欺(不正受給)ができるような簡単なものではありません。
この補助金も、厳格な審査や実績の報告及び3年後(最長5年後)まで報告書と決算書を提出する必要があります。
趣旨
第1条 市長は、筑後市の産業振興及び地域経済の活性化を図るため、市内において新たに創業し、又は新規事業展開を行う者に対し、予算の範囲内において補助金を交付するものとし、その交付に関しては、筑後市補助金交付規則(昭和48年規則第10号。以下「規則」という。)に定めるもののほか、この要綱の定めるところによる。
創業だけではなく、新規事業展開を行う方も対象にしています。
補助対象者
第3条 補助金の交付の対象となる者は、市内において創業し、又は新事業展開を行う者であって、次の各号のいずれにも該当するものとする。
- 市内に事業所を設置し、又は設置することが確実であると認められる者
- 事業に必要な許認可を取得している者又は当該許認可を受けることが確実と認められる者
- 市税又は国民健康保険税を滞納していない者
- この要綱による補助金の交付を過去に受けた者でない物
- 補助金の交付を受けようとする事業について、国県等の補助金の交付を受けていない者
- 暴力団員及び暴力団関係者でない者
補助対象事業
第4条 補助金の交付対象となる事業(以下「補助対象事業」という。)は、次の各号のいずれかに該当する事業とする。
- 創業事業であって、市内の認定支援機関(※)により事業計画の策定から実行までの支援を受けるもの
- 新事業展開事業であって、経営革新計画の承認を受けたもの
(※)認定支援機関とは、中小企業等経営強化法に基づき、税務、財務等に関する専門的知識を有する者として国が認定した支援機関のことです。支援機関は、商工会議所、金融機関及び税理士の名前が、筑後市のホームページに掲載されています。
ちなみに私は現在、認定支援機関として認定されるよう準備を進めています。開業したてなので、実績が必要です。
まずは、必要な実践研修を来年2月、中小企業大学校東京校で受講してまいります。また、行政に確認したところ、事業所得の黒字化が必要とのことでした。そこで、確定申告書に記載すれば任意に償却できる開業費(繰延資産)を来年度以降に償却することで、今年度の黒字化を図ります。
補助対象経費
第5条 補助金の交付の対象となる経費(以下「補助対象経費」という。)は、補助対象事業に係る経費のうち、次に掲げるものとする。
項 目 | 内 容 |
創業に必要な官公庁への 申請書類作成等に係る経費 | 開業、法人設立にともなう司法書士・行政書士等に支払う申請書類作成経費 |
店舗等借入費 | 店舗・事務所・駐車場の賃借料・共益費、仲介手数料 |
設備費 | 店舗・事務所の開設に伴う外装工事・内装工事費用、機械装置・工具・器具・備品の購入費 車両のレンタル・リース料 |
マーケティング調査費 | 市場調査費、市場調査に要する郵送料・メール便などの実費 調査に必要な派遣・役務等の契約による外部人材の費用 |
広報費 | 広告宣伝費、パンフレット印刷費、宣伝に必要な派遣、役務等の契約による外部人材の費用 ダイレクトメールの郵送料、メール便などの実費 |
このうち私は、「設備費」と「広報費」を対象として申請いたしました。
交付申請
申請には11種類もの書類を作成する必要があります。私の場合は、このうち、3種類は該当しませんでしたので8種類を、4月に提出しました。
なお、申請期間は、令和2年4月8日から令和3年2月末までです。ただし、申請が予算額を超えたらその時点で終了となります。今から申請を考えておられる方は、筑後市商工観光課へ照会されてみてください。
このような申請事務では、文章力も重要です。市が求める内容を的確に織り込み、書類だけで取組み内容が十分に分かるように伝えなければなりません。
また、事業計画書や収支予算書は、経験がない方にはすぐにできるものではありませんので、作成にはそれなりの時間がかかるでしょう。経験や自信がない方は、認定支援機関に相談されてください。
私が作成した書類は、認定支援機関からも市からも内容を指摘されることはありませんでした(診断士は、これができないと商売になりません。)。
ヒアリング審査
申請後5月には、事業計画の専門家(中小企業診断士)によるヒアリング審査を受けます。審査は、申請者による事業計画のプレゼンテーション及び質疑応答で、認定支援機関も同席します。
ただ、今年はコロナの影響で、対面でのヒアリングが中止になり、文書(質問表)に回答して提出するというスタイルに変更になりました。
内容は、実現可能性、収益性、継続性そして資金調達の見込みの4分類、10個程度の質問がありました。事業の内容によって質問の内容は変わるようです。
例えば、「他の事務所との差別化はどうしますか?」のような、診断士の二次試験を思い出すような質問がたくさんありました。
他の申請者の皆さんは、これらの質問に苦労されたと伺っています。有り難いことに私は、回答には何も意見が付されずに戻ってまいりました。自分では、100点満点と受け取りました。
補助金交付の決定
申請及び審査を経て5月、筑後市長からの「筑後市創業者支援補助金交付通知書」をいただきました。交付決定額は、申請した額が満額決定されています。
ただ、これで終わりではありません。
実績報告
第12条 交付決定者は、補助金に係る対象事業完了後1月以内又は当該年度の3月31日までのいずれか早い日までに、筑後市創業者支援補助金実績報告書(様式第8号。以下「実績報告書」という。)に次に掲げる書類を添えて、市長に提出しなければならない。
7月退職後、9月に開業するまでに様々な開業のための支出をしました。
実績報告も、11種類も書類を提出する必要があります。私の場合は、このうち、1種類は該当しませんでしたので10種類を、10月に提出しました。
このうち、支払いを証明する資料作りに時間がかかりました。
補助金額の確定
第13条 市長は、実績報告書の提出があったときは、その内容を審査し、交付決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めたときは、補助金の額を確定し、交付決定者に対し、筑後市創業者支援補助金確定通知書(様式第11号)により通知するものとする。
11月、この通知書が届きました。2~3週間後に指定の口座に振り込んでいただけるそうです。
なお、この補助金は、事業所得の雑収入に計上いたします。
帳簿類の管理
第17条 交付決定者は、補助金に係る収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、かつ、当該収入支出についての証拠書類を当該補助金の交付に係る事業が完了した日の属する年度の翌年度から起算して5年間保管しなければならない。
証拠書類は、税法でも保存が義務付けられていますので、特に意識する必要はありません。仮に調査があれば、提出いたします。
事業の継続支援
事業の継続支援として、創業後、巡回訪問と決算書等の確認が行われます。
巡回訪問
創業後、半年後と一年後に、市と筑後商工会議所が巡回訪問を行います。事業の状況を確認するとともに、不安な点を聞き取り、認定支援機関と連携して解決に向けた取り組みを行っていただけます。有り難いことです。
決算書等の確認
創業後3年間(最長5年間)、事業計画進捗報告書及び決算書の提出が求められます。事業の状況を確認するとともに、認定支援機関と連携して解決に向けた取り組みを行っていただけます。これも、有り難いことです。
まとめ
創業される方は、お住まいの地や事業を行う予定地の自治体の補助金を調べましょう。
補助金申請は結構手間がかかりますが、費用対効果を計算し、時間的に余裕があれば挑戦してみましょう。中小企業診断士などの専門家に相談するという手もあります。
【編集後記】
補助金は市民の税金からいただくものです。事業を軌道に乗せ、いつか市民税を納めることで返還したいと、気持ちを新たにした次第です。
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