56歳9か月から勉強を開始して2年で目的を達成した私の中小企業診断士試験勉強法

自分語り

人気資格

私もお世話になった資格の学校「TAC」が発表した、2020年人気資格ランキングで、中小企業診断士(以下「診断士」という)は3位でした。参考までにベスト10は次のとおりです。

第1位 簿記検定

第2位 宅建士(宅地建物取引士)

第3位 中小企業診断士

第4位 社会保険労務士

第5位 税理士

第6位 FP(ファイナンシャルプランナー)

第7位 公認会計士

第8位 情報処理・パソコン

第9位 行政書士

第10位 司法書士

別のサイトの「仕事に役立つ資格ランキング」では、第1位でした。

試験の概要

第1次試験と第2試験があり、第1次試験に合格すると第2次試験に進めます。

第1次試験は選択式ですが、第2次試験は記述式試験面接試験です。

今年の第1次試験はすでに合格発表されております。合格者の皆様は、第2次試験に向けての勉強の日々かと推察いたします。

第1次試験

第1次試験は、経済学・経済政策、財務・会計、企業経営理論、運営管理、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策の7科目です。60点以上取って合格した科目は、翌年、翌々年に繰り越すことができますので、3年計画で第1次試験に臨むことも可能です。

また、60点以下の科目があっても、全科目40点以上で、かつ、総点数の60%以上(7科目受けたら420点)であれば、合格となります。

第1次試験の合格率は、約20%です。

第2次試験(記述式試験)

第1次試験に合格した年と翌年の2回、受験のチャンスが与えられます。

第2次試験は4科目で、1つの科目に5個以上の設問があり、それぞれ15~200文字程度の記述で回答します。

ちなみに、第1次試験は正答が公表されますが、第2次試験は模範解答の公表はありません。そのため、合格者の解答をまとめた本が販売されています。しかし、合格者の解答のどこが良かったのかというのは分かりませんので、推定するしかありません。

第2次試験の合格率も、約20%です。したがって、診断士試験は、第1次試験の合格率20%×第2次試験の合格率20%=全体の合格率4%という難易度が高い試験です。

第2次試験(口述試験)

この口述試験で落ちる方は、ほぼいないという試験です。数年に1人落ちるかどうかだったと記憶しています。

では、何のためにあるのか。私は、「替え玉受験防止」のためではないかと想像しています。記述式試験の合格通知から1週間後にあるこの試験の内容は、記述式試験のおさらいのような質問がきます。つまり、記述式試験の問題を解いた人間でなければ答えられないような質問が来るのです。

1年目はスタディング(旧:通勤講座)中心の勉強

受講料が5万円くらいと非常に安く、当時1時間かけてJR通勤していた私は、この通勤時間だけで1日2時間は勉強時間が確保できることからここを選択しました。

毎日の勉強の年間計画と実績は、Excelで管理しました。実績は、計画より少し遅れ気味でしたが最後まで付け続けました。この計画書を作ったおかげで、モチベーションを保ち続けることができたと考えています。

勉強のスタートは、2016年12月でした。

第1次試験対策

自宅において、いったんPCにダウンロードした音声をスマホにダビングするとともに、テキストを印刷して、通勤時に音声を聞きながら、テキストの文字を追うという勉強方法です。何度も何度も聞き、耳で覚えるという学習です。

休日には、別途購入したTACのテキスト、問題集及び過去問を2回通りやりました。問題集や過去問に出てきた内容のうち大事だと思うものについては、テキストにマーカーを入れたり、文字を書き込んだりします。

また、問題集や過去問の結果は、その正誤をExcelにまとめ、苦手な項目を見える化しました。

第2次試験対策

スタディングには過去10年分の問題がありました。まずは問題を解いてみます。そして通勤中に、答え合わせをしながら音声での解説を聞くという勉強方法です。

1年目に第2次試験に進めるとは考えていませんでしたが、まぐれで合格した場合のために、受験した年の3月頃にこの作業をしておりました。

そして、この一通り10年分の問題をやっていたことが、翌年に活かされます。

2017年度第1次試験の結果

第1次試験は、翌日には答えがネットに公表されるので、自己採点が可能です。

経済学・経済政策(88点)、財務・会計(税理士資格により免除)、企業経営理論(54点)、運営管理(41点)、経営法務(48点)、経営情報システム(68点)及び中小企業経営・中小企業政策(48点)とすべて40点を超えました。しかし、合計点数が347点で、第1次試験の合格ラインの360点に13点不足して、残念ながら不合格でした。

でも、経済学・経済政策(88点)と経営情報システム(68点)の2科目は、60点を超えていますので合格です。この難解で、かつ、第2次試験に関連がない科目を1年目に合格していたのはラッキーでした。欲を言えば、これも第2次試験に関連がない経営法務と中小企業経営・中小企業政策も合格しておきたかったところです。人によっては、1年目はこの4科目だけに集中して勉強して科目合格を目指すというやり方もアリかと思います。

2年目はTACの講座も併用しての勉強

2年目は、女房を拝み倒し、TACのWeb講座(21万円)を申し込み、9月から勉強スタートです。

第1次試験対策

この年は勉強する科目が4科目となり、前年より負担が減りました。

インプットは、スタディングとダウンロードしたTACのWeb講座を、通勤中に交互に視聴しました。しかし、TACの講座の方が分かり易く、去年理解できていなかった部分がようやく意味が分かり、途中からはTAC中心の勉強に移行していきました。

アウトプットは、問題を解く都度、正解だったら〇、間違ったら×をメモし、3回連続正解するまで何度も何度も繰り返しました。同じ間違いを繰り返すことが多く、その都度、自分の覚えの悪さを実感します。連続を謳っていますので、2回連続正解で3回目に間違うと1からやり直しです。これをやると落ち込みますので、2回連続正解の問題は慎重に解いていました。

全問に小さな付箋を貼り、3回連続で正解した問題の付箋を剥がしていきます。この付箋の量が減っていくことが楽しみになります。最後の方は、6回目、7回目の挑戦という問題が残りました。

そして、すべての付箋が剥がれた頃、第1次試験を迎えました。

2018年度第1次試験の結果

企業経営理論(64点)、運営管理(71点)、経営法務(60点)及び中小企業経営・中小企業政策(79点)と全科目60点以上獲得し、第1次試験を突破しました。

第2次試験対策

スタディングは10年分、TACは5年分の過去問が用意されています。もちろん、同じ問題です。ただし、模範解答が違います。前述のとおり、模範解答が公表されていませんので、それぞれに所属されている先生たちがこうだと思う解答です。2つの解答は、意味が違っている部分が多くありました。

第2次試験は4問あり、それぞれの問題にはある企業が登場します。そして、その企業の問題点を洗い出して経営分析し、診断士として何らかの提案をするという試験です。

私にとってはスタディングの解答が「そうだよね」と思う部分が多くあり、途中からスタディングの解答を参考にするようになりました。

第1次試験から第2次試験までは2か月しかありません。通常、第1次試験は十分に勉強時間が確保できるでしょうが、第2次試験はとても時間が足らないのです。そこで、前年に勉強したことが役に立ちました。10年分の過去問は一度はやったことがあるからです(前年の問題のみ初めて)。去年の勉強の資料も残しておりましたので、どの問題にどう考えたかが分かります。

第2次試験も難しいのですが、自分で過去問を解いてスタディングの解答と比べる。これを何度も繰り返しやっていたら、ある時期から急に、「コツ」が分かり始めたのです!

第1次試験を何度も通過するほど優秀なのに、第2次試験に跳ね返され続けた方は、この「コツ」をつかみ損なわれたのではないかと推察しています。

そして、自分に自信が付いた状態で、第2次試験を迎えました。

2018年度第2次試験(記述式)の結果

試験会場は広く、たくさんの受験者が参加されています。第2次試験の合格率は20%。つまり、第1次試験を通過した方々の中から、更に5人に1人しか合格できないのです。

意外な問題の連続で、パニックになりかけましたが、とりあえず文字や数字を埋めました。

自信満々で臨んだ試験なのに、終了後、「(失敗した。)」というのが偽らざる感想です。「(また1年間勉強するのか…。)」と、その後は、心が沈んだまま日々を過ごしていました。

ところで、試験結果は、不合格者にも通知が来ると聞いていました。点数を教えてくれるそうです(合格者には点数は通知されない。)。

ある日我が家に郵便局から書留が届きました。ちょうど家にいた私は郵便局員から受け取りましたが、不合格通知だと思い込んだ私は、そのまま机の上に放置しておりました。その夜、「(何点だったのかな。)」と開封したら、なんと「合格」の文字が!

本心から不合格と思っていたので、びっくりしました。そして、「(ああ、もう勉強しなくていいんだ。)」という苦しかった勉強の日々が思い出されます。そして、喜びが徐々に沸き上がってきました。あの日の感動は忘れられません。

後日、情報公開請求をして点数を取り寄せたところ、事例Ⅰ68点(ランクA)、事例Ⅱ82点(ランクA)、事例Ⅲ49点(ランクC)、事例Ⅳ60点(ランクA)の合計259点(全科目40点以上、合格ラインの240点以上)でした。

2018年度第2次試験(口述)の結果

口述試験は、落とすための試験ではないのですが、唯一落ちるのが「無言」状態になった場合と聞いていました。

各専門学校が予想問題をネットにアップしてくれていましたので、1週間でそれを必死で頭に入れて臨みました。結果的に、4つの質問のうち予想問題が合ったのは1問だけでしたけど。

試験までの1週間、健康にも気を付けました。また、ケガして行けないということがないよう、街を歩くのも慎重です(笑)。受験できなかったら、今までの苦労がパーです。

面接官は、主任試験官らしき女性ともう一人の男性の2名でした。

あっと言う間に時間が過ぎ面接は終了。試験官らはニコニコと笑っておられたので、合格を確信しました。

そして、同年12月25日付けで合格通知をいただきました。

実務従事

合格したからといって、その後一定の経験をしないと中小企業診断士を名乗れ(登録でき)ません。

私は、その中から15日間の実務従事を選択しました。私に診断士受験を勧めてくださった先輩診断士の仕事の下請けみたいな作業をしました。具体的には、先輩診断士に依頼があった融資のための事業計画書と資金繰り表の作成です。ちなみに、謝礼はなく、逆に約8万円支払っての業務です。

当時私は、現役の公務員でしたので、服務担当に、このようなことをしても差し支えないか照会しておりました。回答では、業務は時間外に行うこと、報酬を受け取らないことなどから、「了」の回答を得ました。

この業務でも大変勉強になりました。事業計画書と資金繰り表を実際に作りましたが、先輩診断士が手取り足取り教えてくれる訳ではありません。ちょっとした方向性をくれるだけで、ほぼ、自分で考えて作成する必要がありました。

でも、この作業をすることで、自分自身の事業計画書と資金繰り表を作り上げることができました。机上の勉強ではできない、とても良い経験をしました。

晴れて診断士に

私の診断士登録日は、2019年7月1日です。政府の官報に載ったはずですが、見ておりません。

まとめ

私には、第1次試験の勉強には、TACが有効でした。また、3回連続正答しないとやり直しという縛りも、私には有効でした。第1次試験は、過去問を繰り返し説くというやり方は、とても有効だと感じました。

私には、第2次試験の勉強には、スタディングが有効でした。問題を何度も繰り返し問いたことが良かったと思います。回答のコツが何となく分かってきました。

【編集後記】

診断士は、一般的には、1,500時間の勉強時間が必要と言われます。私は最初、「年間500時間勉強して3年で合格」という目標を立てました。予想が良い方向に外れて2年(1,000時間)で合格したことは、運が良かったと心の底から思っています。

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