まるで飲食店に特化した事業再構築補助金 令和4年度外食産業事業継続緊急支援事業のうち業態転換等支援事業公募(第1次) #228

経営のヒント

なぜ農水省?

飲食店への補助金なのですが、主体は農林水産省です。公募要領にある事業の目的を見ても、農林水産業者のためではなく、あくまでも「飲食店」の支援です。「飲食店を助けることで結果的に農林水産業者を助ける」ということであれば、その旨書くでしょうけど、その記述が目的に無いということは、やはり「飲食店」だけの支援のようです。「飲食店」の支援ならは、経済産業省が行う業務の範疇と思うのですが…。

1.1. 目的
新型コロナウイルスの影響により経営環境が悪化した飲食店が、今後の事業継続及び需要の喚起のために行う業態転換等(新メニュー開発、感染防止策の強化を前提とした提供方法の見直し、テイクアウト・デリバリー等)の取組を支援します。また、外食産業への普及推奨モデルになると判断される取組については、優先的に採択・公表を行います。

さらに言えば、この補助金、事業再構築補助金とそっくりです。「業態転換」とは、そもそも事業再構築補助金の目玉の施策です。

事業再構築補助金がありながら、なぜ、同じような補助金が出てくるのかよく分かりませんが、野党やマスコミから「予算の無駄遣い」と批判されないか、他人事ながら心配しています。

事業再構築補助金との違い

公募要領を見ると、事業再構築補助金を丸写ししたかのような内容です。とはいえ、若干の違いもありますので、その点を少し紹介します。

対象者

事業再構築補助金は、幅広い事業者を対象にしていますが、この補助金は、「飲食店を営む者」に限定されています。食べ物を扱うから農水省?

要件

事業再構築補助金は、3か月の比較で10%売上が減少していることを要件としていますが、この補助金は、令和元年度と令和3年度を比較したときに5%以上売上が減少していることとしています。

ほとんどの飲食店が該当することでしょう…。

補助対象事業

業態転換等と謳っていますが、事業再構築補助金よりやや範囲が広くなっている印象です。紹介している例は、事業再構築補助金の採択されたテーマから事例を引っ張ってきた?

※ 本事業における「業態転換等」とは、例えば以下の例が考えられます。
  ア 現在扱っている商品・サービスの内容を変えること
    例:感染症対策に留意して、お一人様向け業態に変える
      テイクアウト・デリバリー用のメニューを開発する
      店舗内食材の在庫を有効活用するために、通販向け商品を開発する など
  イ 商品・サービスの提供方法を変えること
      例:イートインからテイクアウトに商品の提供方法を変えるため、受渡窓口を設置する
      自動販売機(冷蔵/冷凍)を導入し、従来の営業時間外にも商品を販売する
      店舗での人気商品をEC サイトで全国に販売する など

補助対象経費

僅かに文字が変わっているところはありますが、事業再構築補助金の丸写しです。なお、事業再構築補助金にあるクラウドサービス利用費、知的財産権等関連経費及び海外旅費は、対象となっていません。事業再構築補助金の相見積もり「3社」もこちらでは「複数」となっており、2社でも良さそうです。

他方「委託費」というものが入っています。経済産業省が目の敵にしている補助金ビジネス業者が飛び上がって喜んでいることでしょう。

補助率等

事業再構築補助金の補助率は2/3、補助金額の上限は8,000万円ですが、この補助金は補助率1/2、補助金額の上限は1,000万円です。

一見すると少ないようですが、一般の飲食店にとっては十分すぎる金額でしょう。

認定経営革新等支援機関

事業再構築補助金については、認定経営革新等支援機関の参画が必要ですが、この補助金には必要ありません。

認定経営革新等支援機関は、経済産業省が作った制度ですから、農林水産省が使いたくなかったのか、頼んだけど使わせてもらえなかったのか…。支援機関になれない補助金ビジネス業者にとっては、有り難い制度です。

その他

事業再構築補助金は電子申請ですが、この補助金は「紙」での提出です。

公募期間は2022年6月15日(水)~8月1日(月)です。現在、「Q&Aセミナー」が開催されていますので、興味がある方は参加されてください。

さいごに

初めてこの補助金の情報に触れたとき、偽情報ではないかと疑いました。事業者のサイトはあったのですが、農林水産省のホームページには情報が無かったからです。そのため、ブログの記事を書くのも控えていました。そうしていたら6月15日に情報がアップされ、本物であることを確認しました。

これって、両省で情報をすり合わせないと、事業再構築補助金との二重取りの不正が出てくるような気がしています。また、「補助金詐欺」として話題にならないと良いのですが…。

本補助事業の委託を受けている事業者のページには、「フォトAC」の無料画像が使われているところも、なんとなく貧弱な印象です(この記事の画像も同じものを引っ張ってきました!)。

【編集後記】

昨夜は、中小企業診断士協会南部会(筑後地区)の勉強会でした。

直前の仕事が長引き、18時開始のところを19時前に会場に着きました。興味あるテーマだったので少し残念です。

勉強会後の懇親会では、他の診断士の方々からいろいろな話を聞けて良かったです。こちらもとても為になりました! 皆さん、お疲れさまでした。

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